今季、レッドブルのセカンドチームであるアルファタウリで角田裕毅のチームメートを務めているニック・デ・フリースだが、その起用に関してはレッドブル内部でも異論があったようだ。
■パフォーマンス改善が求められるデ・フリース
オランダ人ドライバーである28歳のデ・フリースは、昨年のF1イタリアGPに虫垂炎を患ったアレクサンダー・アルボンの代役として急遽出走し、9位完走を果たすという手堅いF1デビューを飾っている。
これが評価され、今年はアルピーヌへ移籍したピエール・ガスリーの後任としてアルファタウリのフルタイムシートを確保している。
だが、ここまでのところ、デ・フリースは期待されたようなパフォーマンスを発揮することができていない。
そして、レッドブルとアルファタウリのドライバープログラム責任者を務めるヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、デ・フリースがアルファタウリに留まるためにはすぐにパフォーマンスを改善することが必要だと警鐘を鳴らしている。
■ミック・シューマッハ起用を進言していたフランツ・トスト
実際のところ、2019年のF2チャンピオンであり、フォーミュラEでも2020-2021年シーズンのチャンピオンとなった実績を持つデ・フリースだが、レッドブル、そしてアルファタウリの関係者たちの中には2023年にデ・フリースを起用することに前向きではなかった者がいたのも確かだ。
その1人は、アルファタウリのチーム代表を務めているフランツ・トストだ。マルコと同じオーストリア出身のトストは、2022年シーズン限りでハースのシートを失うことが確定的だったミック・シューマッハと契約したいと考えていたものの、最終的にはマルコからそれを拒否されたことを認めている。
さらに、最近になってレッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーも、デ・フリースとの契約に反対していたことが明らかとなっている。
■ホーナーもデ・フリース起用には前向きではなかった
80歳のマルコは、このほど『Inside Line(インサイド・ライン)』と呼ばれるポッドキャストに次のように語った。
「我々が異なる意見を持つことはあまりないんだ。だが、時にはそうなることもある」
「前回はニック・デ・フリースのことだったと思う」
「そして、現時点においては、どうやら彼(ホーナー)が正しかったようだ」
「もちろん、それはレッドブルではなくアルファタウリのことだ。だが、我々はファミリーだから、私は彼にも意見を求めたんだ」
「そして、彼はニック・デ・フリースの大ファンではなかったよ」
■デ・フリースの方が自分たちの哲学に合っていたとマルコ
トストが推していたミック・シューマッハではなく、最終的にデ・フリースを選んだ理由を問われたマルコは、次のように答えている。
「彼(シューマッハ)はキャリアを通じてずっとフェラーリのアカデミーの一員として走っていたからね」
「昨年、代役としてモンツァで非常にうまくやったニックの方が、我々の哲学に合っていたんだ」