昨年までチーム代表と技術責任者を兼務していたマッティア・ビノットを更迭し、フレデリック・バスールを新チーム代表に迎えた今年のフェラーリだが、現時点では予想外の苦戦を強いられている。
ここまでに7戦が消化された時点で、フェラーリのドライバーはカルロス・サインツがランキング6番手、シャルル・ルクレールは7番手に位置しており、コンストラクターズランキングはレッドブル、メルセデス、アストンマーティンに次ぐ4番手にとどまっている。
■フェラーリ不振の原因は人材不足?
こうした中、かつてマクラーレンやフェラーリで活躍した元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは、フェラーリが現在苦戦している本当の理由はトップレベルの人材が不足していることだと考えている。
オーストリア出身の63歳となるベルガーは、80年代と90年代の2期にわたってフェラーリでF1を戦った経験を持っている。
そのベルガーは、イタリアのマラネロに本部があるフェラーリが現在F1で後れをとっているのは、特に技術分野での人材不足によるものだと考えているようだ。
■フェラーリの人材確保がうまくいかない理由は?
最近、フェラーリではライバルチームから優秀なエンジニアを引き抜こうとしているものの、それがあまりうまくいっていないようだと伝えられている。
ベルガーは、そのことに言及しながら、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に次のように語った。
「マラネロへ引っ越して来るようみんなを説得する必要がある。しかし、それは簡単なことではないんだ」
「彼らは、そこで勝てないことを心配しているんだ」
「今ではほかにもビッグチームがある。メルセデス、アストンマーティン、そして将来有望なアウディさえもね。そして、そうしたチームたちもレッドブルからエンジニアを呼び込もうとしているんだ」
■ハミルトンのフェラーリ移籍は戦略的に流された噂?
最近では、今年でメルセデスとの契約が切れるルイス・ハミルトンがフェラーリに移籍する可能性があるとの噂がささやかれているが、ベルガーは、その噂はフェラーリが戦術的な理由で引き起こしたものではないかとさえ考えている。
「時には、エンジニアを引き抜くためにある種の戦略的な動きが使われることもある。今回の場合はメルセデスからの引き抜きだよ」
そう語ったベルガーは、現在のフェラーリの不振は決してドライバーたちの責任ではないと次のように付け加えた。
「2022年もそうではなかったように、私はフェラーリの本当の問題がドライバーにあるとは思っていないよ。それは彼らのドライビングスキルの問題じゃないんだ。ルクレールとサインツは並外れて強いからね」