先週末のF1オーストラリアGPは、最後にマルチクラッシュが発生する大波乱の展開となった。そして、これに関してメディア関係者たちが一斉にF1オーナーのリバティ・メディアやFIA(国際自動車連盟)のF1レースディレクターに批判の集中砲火を浴びせている。
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■オーストラリアGPのF1レースディレクターは「0点」
例えば、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』のアンドレアス・ハウプトは、次のように書いている。
「権利者(リバティ・メディア)は満足だっただろう」
「しかし、ショーは修羅場と化してしまった。今や必然的に、スポーツの上に意図的にショーが置かれたのではないかという疑問が生じている」
また、ジャーナリストのピーター・コールは、ドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』に次のように語っている。
「ショーは続けなければならない。だが、だからといって理性的な考えをすべて投げ捨てていいことにはならない」
イタリアでは、『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』紙のフラビオ・ヴァネッティ記者が、現在F1レースディレクターを務めているニールス・ヴィティッヒに言及しながら次のように書いている。
「フェルスタッペン(レッドブル)は8点、ルクレール(フェラーリ)は5点、そして、ヴィティッヒは間違いなく0点だ」
「彼は調整役ではなく、混沌を生み出すアニメ制作者だった」
■問題の根は現F1オーナーのリバティ・メディアに?
カナダの『Le Journal de Montreal(ジュルナル・ド・モントレアル)』の特派員であるルイス・ブッチャーは、「リバティ・メディアのアメリカ人がF1を買収して以来、すべてが変わってしまった」と書き、次のように付け加えている。
「そして、必ずしもいい方向には向かってはいない」
スイスの『Blick(ブリック)』紙所属のベテランジャーナリストであるロジャー・ブノワも次のように主張している。
「何十億も稼ぎ、何億人ものファンを持つスポーツが、それにふさわしくないナンセンスな行為によって踏みにじられてしまった」
フィンランドの『Iltalehti(イルタレティ)』紙のユーソ・タイパレ記者は、リバティ・メディアは「自分たちが注文したものを得たのだ」と書き、次のように付け加えている。
「アメリカ人は、最高峰モータースポーツを、ショーがすべての中心となる製品に変えてしまったのだ」
■ラスト2周は「悪い冗談」だったとラルフ・シューマッハ
こうした中、7回F1王者となったミハエル・シューマッハを兄に持つドイツ出身の元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハも、「レース管理者たちは、自分たちを恥じるべきだ」と主張し、次のように付け加えている。
「あんな状況に置いておきながら、ドライバーたちは注意深くあるべきだなんて言えないよ。申し訳ないが、それは悪い冗談だ」。