いくつかのイタリアのメディアの報道によれば、フェラーリはクリスマスまでにマッティア・ビノットの後任となる新チーム代表を発表する予定にしているようだ。
そうした報道によれば、マラネロに拠点を構えるフェラーリはすでに決定を下していると考えられており、現在アルファロメオのチーム代表を務めるフランス出身のフレデリック・バスールが指命を受ける可能性が高いという。
その一方で、2019年からマクラーレンのチーム代表を務めているドイツ出身のアンドレアス・ザイドルがビノットの後任としてフェラーリに迎え入れられる可能性があるとも伝えられている。
■ビノットはいい仕事をしていたとマクラーレンのボス
マクラーレン・レーシングのCEOを務めるザック・ブラウンは、そうした噂に関して質問されると、次のように語った。
「私にはその噂が本当かどうかはわからない。だが、私は彼がどこにも行かないことを知っているよ」
「フェラーリ内でどういう動きがあるのかは知らないが、私から見ればマッティアはかなりいい仕事をしていたと思うよ」
■トップを替える必要があったとは思えないとマリオ・アンドレッティ
ブラウンと同じアメリカ出身の元F1チャンピオンであるマリオ・アンドレッティも、フェラーリがビノット更迭に動いたことに疑問を感じているようだ。
「トップにいる人間を替える必要が本当にあったのだろうか?」
1971年にフェラーリでF1初優勝を飾った経験を持つアンドレッティは、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』にそう語ると、次のように付け加えている。
「情報に基づいて判断を下す前に、私はそのことについてもっと詳しく知る必要がある。戦略面での修正が必要であることは確かだ。しかし、これだけ速いマシンがあるのなら、思い切ったことをする必要はないだろう」
「確かに、ある種の愚かな行為を目にしたことは事実だし、その責任が誰にあるのかはわからないがね。ルクレールがブラジルでインターミディエイト(タイヤ)でコースに送り出されたことを考えると、マンマ・ミーア!だよ」
■私ならビノットをキープしたとフェラーリの元チーム代表
また、1989年から1991年シーズン序盤までフェラーリのチーム代表を務めていたチェーザレ・フィオリオも母国イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』紙に次のように語っている。
「私はビノットについては肯定的な意見を持っているし、彼は残るべきだったと思う」
「彼は、F1-75(フェラーリ2022年型F1マシン)という競争力のある先進的なマシンをアスファルトの上に置いたんだからね」
「彼は非常に優秀なエンジニアだ。だが、チーム代表としてはまだ経験を積む必要があった。しかし、時間が経つにつれて、彼はどんどんうまくやれるようになっていたと私は思っているよ」
「私だったら、ビノットをチームに留めておく方法を見つけていただろう。技術的なレベルでは、彼は本当に目標を達成したんだ」
そう語った83歳のフィオリオだが、ビノットの後任候補だと噂されているバスールについて質問されると、次のように答えている。
「彼はほかのクラスで成功を収めている。つまり、少なくとも彼はいい経歴を持っているということだ」
■バスール就任でも当面は逆風?
しかし、最近では、フェラーリがバスールの起用を決めたことで、彼の元ビジネスパートナーであるニコラ・トッドが率いるシャルル・ルクレール陣営を怒らせたという噂もささやかれているようだ。
その噂が事実であれば、もしもバスールがフェラーリの新代表に就任しても、当面は逆風にさらされることになる可能性もありそうだ。
ともあれ、現在フェラーリの次期チーム代表候補に噂されている人物たちの中にはイタリア出身者がいないのが興味深いところだ。もしも2023年にイタリア人以外のチーム代表が誕生することになれば、それはミハエル・シューマッハを擁して黄金時代を築いたフランス出身の元チーム代表ジャン・トッド(前FIA会長)以来のこととなる。