世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブル社の創業者であるディートリッヒ・マテシッツの死をきっかけとして、レッドブル・レーシングがF1から撤退するという事態に発展することはない。
そう主張するのは、マテシッツの右腕として、レッドブル・レーシングとアルファタウリという2つのF1チーム運営に携わってきたヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)だ。
■レッドブルがF1から姿を消すことはない
「我々の成功が何よりの証拠だよ」
ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』誌にそう語ったマテシッツと同じオーストリア出身のマルコは次のように続けた。
「近い将来、レッドブルがF1から姿を消すのではと心配する必要などないよ」
「我々の使命はまだまだ終わることはない。我々はより多くのレースで勝利し、より多くのタイトルを獲得したいと思っているよ」
■レッドブル新首脳体制によるF1チームへの影響は?
マテシッツの死後、レッドブル社は3人の新たな責任者を指名している。そのうちの1人がスポーツ担当のオリバー・ミンツラフだ。ミンツラフはブンデスリーガに所属するサッカーチームであるRBライプツィヒの元CEOという経歴を有する人物で、今後は同社のF1活動もミンツラフが統括していくことになるようだ。
マルコは、ミンツラフとはまだコーヒーを一緒に飲んだだけで、今後レッドブルのF1チーム運営にどのような影響がでてくるのかはまだ不透明だと認めている。
「我々にとって最大のプラスは、何かを始める前に監査役会と会議をする必要のない、多くの優秀な人材を抱えていることなんだ」
そう語った79歳のマルコは、次のように付け加えた。
「今後どのような形になるのか、そのうちわかるだろう。ミンツラフ氏がどのような役割を果たすのについて今後数週間のうちに話し合うことになるよ」
■風洞時間削減は大きなデメリットにはならない
一方、レッドブルにとって2023年シーズンの戦いは今年よりもかなり厳しいものになるだろうと予想されている。
2022年のコンストラクターズタイトルを獲得したレッドブルは、ルールによって2023年の風洞テスト時間がこれまでよりも短くなるが、2021年のバジェットキャップ(チーム予算上限)違反のペナルティーによってさらに風洞使用時間が削減されるためだ。
しかし、マルコは、それがレッドブルの勢いを止めることにつながるとは思っていないと次のように語っている。
「だが、私はあまり心配していないよ。我々は2023年に向けて正しい道を歩んでいるし、マックス(フェルスタッペン)という最高のドライバーがいるからね」