2022年いっぱいでフェラーリを去ることが決まったチーム代表のマッティア・ビノットだが、すでに水面下でいくつかのF1チームが獲得に乗り出している可能性もあるようだ。
■フェラーリ会長とビノットは“水と油”だった
イタリアのマラネロに本拠を置く名門F1チームであるフェラーリに28年間在籍したビノットだが、2022年のF1タイトル獲得に失敗したことを受けて辞任する形となっているものの、これが事実上の更迭であることは確かだ。
フェラーリの内部事情に詳しいジャーナリストとして知られるレオ・トゥッリーニは、多国籍自動車メーカーである『ステランティス N.V.』の会長であり、フェラーリ会長も兼務するジョン・エルカーンの名前をあげながら『Radio24(ラジオ24)』に次のように語っている。
「ビノットとエルカーンは、水と油のようなものだった」
「フェラーリ会長がチームのボスへの信頼を失ったとき、このような結果になるのは当然のことだ」
最近のうわさによれば、2023年1月1日からは、現在アルファロメオのチーム代表を務めるフレデリック・バスールがビノットの後任としてフェラーリを率いることになると考えられている。
■ビノットはすでにアウディと交渉?
だが、優秀な技術者としての評価も高いビノットに関しては、すでにいくつかのF1チームが興味を示しているとのうわさもささやかれている。
トゥッリーニによれば、ビノットはすでに2026年からF1に参戦することが決まっているアウディと交渉中だという。
フォルクスワーゲン傘下のアウディは、現在はアルファロメオというチーム名で戦っているスイスに本部を置くザウバーを事実上買収し、2026年からは自らのワークスF1チームでF1を戦うことになると考えられている。つまり、フェラーリへ移籍するとうわさされているバスールと入れ替わりに、ビノットがアウディとともにザウバーF1チームの運営に携わることになる可能性があるということだ。
「ビノットはすぐに(フェラーリの)ライバルと一緒に仕事を始めるだろう」
そう語ったトゥッリーニは、次のように付け加えた。
「私は、彼がアウディと交渉していることは知っているよ」
■メルセデスやアルピーヌも移籍候補
また、イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』紙によれば、ビノットがメルセデスに移籍する可能性もあるという。
実際のところ、その推測はあながち的外れなものではないかもしれない。
というのも、メルセデスにはジェームズ・アリソン(現チーフテクニカルオフィサー)やアルド・コスタ(元エンジニアリング責任者)などのように、フェラーリから移籍してきた人材がチームの成功に大きく寄与した例があるためだ。
『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』はさらに、ルノーが自分たちのワークスF1チームであるアルピーヌのためにビノット獲得に動く可能性もあるとしている。