1997年のF1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブが、先週末にオースティンのCOTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)で行われたF1アメリカGPで危険なドライビングを行ったランス・ストロール(アストンマーティン)には1レースの出場停止処分を与えるべきだと主張した。
■ストロールとアロンソの危険なクラッシュが起きたアメリカGP
51歳のビルヌーブは、40万人を超える観客が訪れた今年のアメリカGPはエキサイティングなレースとなり、見事なドライビングも見られたものの、その一方で“危険なドライビング”もあったと『formule1.nl』のコラムに次のように書いている。
「危険なドライビングといえば、それはランス・ストロールのことだ」
「彼はフェルナンド・アロンソとの事故により、1レースの出場停止処分を受けるべきだよ」
アメリカGP決勝で、ストレートでアロンソが自分をオーバーテイクしようとした際、ストロールは急にアロンソの進行方向へ自分のマシンを振っていた。これにより、ストロールとアロンソのマシンが接触し、アロンソのマシンは宙に浮くような形でバリアに激突していた。
■FIAはこうした危険行為にはもっと厳しい処分を
この一件に言及したビルヌーブは、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は、今後このような行為をもっと取り締まる必要があると次のように続けた。
「ドライバーがストレートでマシンを振るのは最も危険で最も見たくないことなのに、FIAはF1でも下位クラスでも非常に手ぬるいんだ」
「ばかげているし、非常に危険なことだよ」
「ストレートでマシンを振れば、ほかのドライバーを危険にさらし、惨事を招く可能性だってある。ああいう大事故の原因になるんだからね」
「そしてそれは、自分がミスをしたからではなく、意識的にそういうことをしようと決めたからだ。だから、本当に容認できないことだ」
「FIAはこのような行為に対し、もっとペナルティを科す必要があるよ。たとえそれが事故につながらなかったとしてもね。だって、これまで何もなかったのは幸運だったからだよ」
■若手ドライバーにも「ゲームのようなドライビング」が見られる
そう主張したビルヌーブは、今後若いドライバーたちを適切に指導するためにも、FIAはそれを真剣に考える必要があるだろうと示唆し、次のように続けている。
「そして、それはすでに下位クラスでも始まっているんだ」
「F4やF3では、ビデオゲームでもやっているようなドライビングをしている連中を見かけることがある。しかし、レースは危険なものだし、これはレースや、あるいはうまく防御することとは関係がないんだ」
■大クラッシュの後で素晴らしい走りを見せたアロンソ
だが、ビルヌーブも、激しいクラッシュを演じたものの、その後ばん回して7位でチェッカーフラッグを受けた41歳のアロンソの走りには驚きを感じたようだ。
「アロンソは幸運にもいい結果になったね」
「実際のところ、かなり奇妙だったね。彼はなんとかマシンをピットに戻した。そして、新しいノーズと新しいタイヤを付けて送り出される彼はまだ戦うことができ、ポイントを獲得したんだからね!」
「アルピーヌはどうやら戦車のように頑丈にできているようだね。そして、アロンソも素晴らしい走りをしたよ」
だが、すでに伝えられている通り、驚異的なばん回を見せて7位でそのレースを終えたアロンソだったが、その後右のミラーが脱落した状態で走り続けたことが危険行為に該当するとしてレース後に30秒加算ペナルティが科されてしまい、獲得したと思われていた6ポイントを失ってしまっている。
■ストロールには次戦3グリッド降格ペナルティと2ペナルティポイント
一方、ビルヌーブが1レースの出場停止処分が妥当だと指摘したストロールには、アロンソとのクラッシュの原因を作ったとして2ペナルティポイントが与えられるとともに、今週末に行われる次戦メキシコGP(30日決勝)で3グリッド降格ペナルティが科されることになっている。
ビルヌーブがその危険性を訴えているように、もしアロンソが深刻な大怪我をしていたら・・・同じペナルティで騒動が収まっていたかは疑問が残ることだろう。