レッドブル・レーシング首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、ポルシェとの間に進められてきた2026年以降の提携問題が破談となる可能性が高いことを認めた。
●【2022F1第15戦オランダGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
ポルシェは同じくフォルクスワーゲンの傘下にあるアウディとともに、新F1エンジンレギュレーションが導入される2026年からエンジンサプライヤーとしてF1に参戦する計画だと考えられている。
そして、少し前までは、ポルシェはレッドブル・レーシングの株式を取得し、チームの共同オーナーとして自らのワークスF1チームを運営する計画を進めていると考えられていた。
だが、最近になってポルシェとレッドブルの交渉が行き詰まっているとの報道が行われるようになっている。伝えられるところによれば、レッドブル・レーシングの50パーセントの株式をポルシェが取得する予定だとされていたが、ポルシェがチームの主導的立場に立つ可能性があることにレッドブル側が難色を示しているものと考えられている。
■レッドブルとポルシェの提携交渉は事実上物別れ
こうした中、ドイツ出身元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハは先週末に、『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に対し、事実上レッドブルとポルシェの交渉は決裂状態にあるようだと次のように語っていた。
「安全だと思われていた契約は、合意に達することができなかったため、崩壊したか、少なくとも当分の間保留にされている」
このシューマッハのコメントを裏付けるように、マルコはやはりドイツの放送局である『Sport1(シュポルト1)』に次のように語った。
「ポルシェが我々の株主になることはない」
「我々には自分たちのエンジンを作る全ての能力があるんだ」
■自社エンジン製造にこだわりを見せるレッドブル
実際のところ、昨年までレッドブルの正式なエンジンサプライヤーを務めていたホンダがF1活動からの撤退をアナウンスしたことから、レッドブルでは独自にエンジンを開発・製造するためにレッドブル・パワートレインズを設立している。
さらに、現時点ではホンダとの間に2025年までのエンジン使用契約を結んでいるレッドブルだが、2026年からホンダが正式にF1活動を再開するようだとのうわさもささやかれており、それがレッドブルのポルシェとの交渉にも影響を及ぼしていると考えられている。
ラルフ・シューマッハも次のように語っている。
「いずれにせよ、レッドブルにはポルシェと手を組む必要はないだろう? 彼らは最も完全で最も独立したパッケージを持っているんだからね」
レッドブルのチーム代表であり、レッドブル・パワートレインズの責任者でもあるクリスチャン・ホーナーも、ポルシェとの交渉が完全に終わったわけではないものの、事実上2026年からポルシェを自分たちのエンジンサプライヤーとする考えは持っていないと示唆している。
「我々は2026年から自分たちがエンジンメーカーになると言ってきた」
「ポルシェとの話し合いもあった。だが、我々はレッドブル史上初となる自分たちのエンジン製造に真剣に取り組んでいるよ」
そう語ったホーナーは、次のように付け加えた。
「それは、レッドブルにとって新しいエキサイティングな門出だ。そして、パワートレイン事業においてパートナーと組むかどうかは議論次第だよ」
■マクラーレン・ポルシェ誕生の可能性が浮上?
一方、7度F1王者となったミハエル・シューマッハを兄に持つラルフ・シューマッハは、もしレッドブルとポルシェの交渉が完全に決裂した場合には「マクラーレンが新たな候補となって最高のチャンスを得ることになるだろう」と考えている。
その理由は、かつてポルシェに在籍し、WEC(世界耐久選手権)で3連覇を果たした実績を持つアンドレアス・ザイドルが現在はマクラーレンのチーム代表を務めているためだ。
『Sport1(シュポルト1)』も、仮にレッドブルとの提携が不調に終わったとしても「ポルシェは間違いなく2026年からF1に参戦したいと考えている」と報じている。