2012年シーズンまでメルセデスのモータースポーツ責任者を務めていたノルベルト・ハウグが、ハースがフェラーリとの契約下にあるアントニオ・ジョビナッツィに金曜フリー走行の機会を与えることは、ミック・シューマッハとの関係をさらに不安定にしてしまうものだと主張した。
■2レースでジョビナッツィを金曜フリー走行に起用するハース
ハースは、昨年までアルファロメオで走っていたイタリア出身ドライバーのジョビナッツィを今季のF1第16戦イタリアGP(9月11日決勝)と第19戦アメリカGP(10月23日決勝)の金曜フリー走行1回目に起用することを明らかにした。
そして、チーム代表のギュンター・シュタイナーは、これはエンジンサプライヤーであるフェラーリからの要請を受けてのことだと認めている。
通常、F1チームが金曜フリー走行に起用するのは今後F1昇格を目指す若手ドライバーであることが多い。今季はフェラーリのリザーブドライバーを務める傍ら、フォーミュラE選手権にも参戦していた28歳のジョビナッツィだが、2019年から2021年まで3年間アルファロメオでフルタイムドライバーを務めた経験があり、こうしたドライバーに金曜フリー走行出走のチャンスが与えられるというのはあまり例のないことだ。
■ジョビナッツィにF1復帰チャンスを与えるのがフェラーリの意図?
フェラーリとの契約下にあるシューマッハだが、最近のうわさではハースばかりか、フェラーリとの関係もあまり芳しい状態ではないようだと言われている。
こうした中で、フェラーリが今シーズン後半の2レースでジョビナッツィをハースの金曜フリー走行に登場させるということは、2023年にはシューマッハに替えてイタリア出身ドライバーのジョビナッツィをハースでF1復帰させることを検討している可能性を示すものかもしれない。
■ハースは自分たちのドライバーに集中するべきだとハウグ
69歳のハウグは、ハースはジョビナッツィに走行機会を与えるよりも、現在戦っている自分と同じドイツ出身のシューマッハをもっと強力にサポートするべきだとテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に次のように語った。
「ドライバーは1kmでも走行チャンスが減れば週末のレースに向けて痛手となるんだ」
「フェラーリとの間に契約上の合意があるのかどうか私は知らない。だが、ハースのようなチームは自分たちのドライバーに集中するべきだよ」
■ドライバーは農耕馬ではなく競走馬
シュタイナーは、23歳のシューマッハが2023年までレースシートを維持したいのであれば「もっとポイントを取るべきだ」ときっぱりと言い放っており、シューマッハの肩にさらなるプレッシャーをかけている。
これに対してハウグは次のように反論している。
「もし私がもっとポイントを取ることを期待すると言うなら、ドライバーももっと練習したいと言えるようにしてやらなくてはならないんだ」
「ドライバーをサポートし、彼に機会を与えれば、何らかの進歩が見られるだろう」
そう主張したハウグは、次のように付け加えている。
「ドライバーは農耕馬ではなく競走馬なんだ。彼に勇気を与えなければならないよ」。