ケビン・マグヌッセン「ミック・シューマッハは大きな前進を果たした」叔父やメルセデス代表も賞賛
2022年シーズン序盤はミスも多く、なかなか結果が出せなかったことから、今年限りでF1シートを失う可能性もあるとされていたミック・シューマッハ（ハース）だが、直近2レースでの活躍により、来季もシートを確保できる見込みがかなり高くなってきたようだ。
●【2022F1第11戦オーストリアGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
■2戦連続でポイントを手にしたミック
F1界の伝説的存在であるミハエル・シューマッハの息子であり、フェラーリの契約下にある23歳のミックだが、2021年にフェラーリと技術提携契約を結んでいるハースからF1デビューを飾ったものの、今年の第9戦カナダGPまで1ポイントも獲得できないレースが続いていた。
だが、ついにシルバーストンで行われた第10戦イギリスGP決勝を8位でフィッシュしてF1キャリア初ポイントを獲得したミックは、先週末にレッドブルリンクで開催された第11戦オーストリアGPでも見事に6位でフィニッシュ。しかも、このレースではニキータ・マゼピンに代わって今季からチームメートとなった経験豊かなケビン・マグヌッセンをコース上でオーバーテイクするというシーンも見られた。
2年ぶりにF1復帰を果たしたマグヌッセンは今季の開幕戦バーレーンGPでいきなり5位入賞を果たすと、第2戦サウジアラビアGP、第4戦エミリア・ロマーニャGPでもポイントを獲得していた。だが、マグヌッセンも第5戦マイアミGP以降はまったくポイントに手が届かないレースが続いていた。
■ポイントがとれるようになったミックを喜ぶマグヌッセン
マグヌッセンは、少し前に次のように語っていた。
「定期的にポイントをとることができるのが自分だけだと難しいね」
だが、イギリスGPと先週末のオーストリアGPでミックが2連連続でポイントを獲得したことを受け、マグヌッセンはミックの母国であるドイツの『Bild（ビルト）』次のように語った。
「ミックはこの2レースで大きな前進を果たしたよ」
「僕も、彼とチームのためにうれしく思っているよ」
「僕たちはこれでチーム選手権では7番手に上がったし、もっと上を目指したいと思っている。そして、そのためにはポイント圏内でフィニッシュすることができる2人のドライバーが必要なんだ」
■ミックの方が速ければブロックする理由はないとマグヌッセン
先週末のレッドブルリンクではミックがマグヌッセンをオーバーテイクするシーンも見られたが、これに関して質問を受けた29歳のデンマーク人ドライバーは次のように答えた。
「もし彼の方が速いのであれば、彼をブロックする理由などないよ」
「僕はチームを助けるためにここにいるんだ。F1タイトルをとるためではない。僕はそういうポジションにはいないよ」
「いつかはそのチャンスを得られればいいと思っているけれど、僕はチームプレーヤーだし、2台でポイントをとることができれば満足なんだ。野蛮人のようにブロックする僕を見られなかったのは、それが理由だよ」
F1オーストリアGP決勝を9番グリッドからスタートし、6位でフィニッシュしたミックは、ファンの投票により「ドライバー・オブ・ザ・デー」にも選出されている。
■今年のハースF1マシンならライバルと戦えるとラルフ・シューマッハ
ミックの叔父である元F1ドライバーのラルフ・シューマッハもオーストリアGPの結果を受けて次のように語った。
「彼はバトルに強いんだ」
「それはすでにF2でも見られていたし、そして今、F1でも彼はそれを少し練習する必要が出てきている」
「昨年はマシンのせいでそれができなかったが、今はできる。彼はそれを見事にやり遂げ、ハードに、しかしフェアにディフェンスしているよ」
「ミスは常に起こるものだけど、今の彼は完璧にこなしているよ」
■メルセデスのボスもミックを賞賛
一方、最近では、メルセデスとレッドブルがフェラーリのジュニアプログラムからミックを引き抜こうとしているのではないかとのうわさもささやかれるようになっている。
こうした中、メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、2戦連続ポイント獲得を達成したミックについて次のように語った。
「ミックは素晴らしいドライビングをした。ディフェンスも良かったし、いつもスポーツマンシップに則っている」
「私はそれが見られてうれしいよ。いい若者だ」
■ミックとの関係は良好で何も問題はないとハースのボス
一方、ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、ミックとの2023年の契約延長について質問されると、少なくとも、これまで通り、夏休み前には「それに関する話はしない」と主張している。
しかし、最近、ミックとシュタイナーの関係が悪化しているのではないかとのうわさもあるが、シュタイナーはこれに関して次のように答えた。
「私とミックの関係は良好だ。問題はないよ」。
