レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、今週末のF1オーストリアGPでは、ライバルF1チームたちはポーポイズ現象とバウンシングの問題で苦しむことになるだろうと予想している。
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■オレンジ色で染まることになるレッドブルリンク
先週末にシルバーストンで行われた第10戦イギリスGPに続き、今週末には世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブルが所有するレッドブルリンクでオーストリアGP(10日決勝)が開催される。
ドライバーズランキングではマックス・フェルスタッペンがトップに立ち、コンストラクターズランキングでも今年の最大のライバルであるフェラーリをリードして自分たちのホームレースを迎えることで、レッドブルには余裕も感じられるようだ。
「もちろん、マックス(フェルスタッペン)は多くのオランダのファンに支えられている。それがさらに特別なものにするんだ」
そう語ったマルコは、次のように付け加えた。
「だが、我々は彼のために熱狂を少し抑えるようにしなければならない。彼がレース前に十分な休息を取ることができるようにね」
今週末のオーストリアGPのチケットはほぼ完売していると伝えられているが、フェルスタッペンの母国であるオランダに近いこともあり、スタンドがまたオランダのナショナルカラーであるオレンジ一色に染まることになるのは間違いないだろう。
マルコはさらに、母国オーストリアの『Kronen Zeitung(クローネン・ツァイトゥング)』紙に対し、レッドブルは現在F1人気が盛り上がっていることをよく理解しており、先週末の日曜日に行われたイギリスGP決勝が「信じられない」レースとなったおかげで、さらにそれに拍車がかかると思うと語っている。
■レッドブルリンクはバウンシング問題のないレッドブルに有利
一方、先週末のシルバーストンではメルセデスのルイス・ハミルトンが2レース連続で今季3度目の表彰台に上るなど、最近になってかなり調子を上げてきていることが目についた。
しかし、マルコは、レッドブルリンクでのレースは、メルセデスにとってはより困難なものになる可能性があると考えているようだ。それは、標高が高い山岳地帯に位置するレッドブルリンクでは空気密度が低くなることがF1マシンの空力にも影響を及ぼすためだろう。
「このサーキットでは、ほかのチームたちはバウンシング(マシンが跳ねること)にもっと悩まされると思う」
そう語ったマルコは、次のように続けた。
「だから、彼らはマシン(の車高)をもう少し上げるしかないだろうね」
「我々には、その問題は何もないよ」
■高地に強いホンダ製エンジンも味方に
また、マルコは、高地にあるレッドブルリンクでは、現在はレッドブルブランドとなっているホンダ製エンジンが力になってくれるはずだとオーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』に次のように語っている。
「エンジンが我々のパフォーマンスの大きな部分を占めていることを忘れてはならないよ」
「ホンダは高地でもうまく機能するエンジンを作っているんだ。なにしろ、ホンダエンジンで我々が最初に勝利したのはオーストリアだったんだからね」
■ファンだけでなくドライバーたちもレッドブルリンクでの週末を楽しむはず
マルコは、今週末はファンばかりでなく、F1ドライバーたちも、オーストリアのシュピールベルクに位置するレッドブルリンクでのレース週末を十分に楽しむはずだと考えている。
「我々は谷間の真ん中にとてもユニークなサーキットを持っている」
「このサーキットは、ほとんどのドライバーがリストの上位に掲げるものでもあるんだ」
「もちろん、シンガポールのような派手さはないよ。だが、ドライバーたちはここでのチャレンジとホスピタリティ、そしてもちろんシュニッツェル(オーストリアのカツレツ風肉料理)が大好きなんだ」
そう語ったマルコは微笑みを浮かべながら、次のように付け加えた。
「ハミルトンは菜食主義者だからそこには含まれないがね」。