メルセデスF1チームの代表を務めるトト・ヴォルフが、今後メルセデスF1エンジンを搭載するチームが減少する可能性を示唆した。
■エンジン供給は魅力あるビジネスではない
現在、F1エンジンサプライヤーでもあるメルセデスは、自分たちのワークスチームに加え、アストンマーティン、マクラーレン、ウィリアムズに自分たちが製造したエンジンを供給している。もちろん、自分たちを除けば、ほかの3チームには有償でエンジンをリースしており、それ自体がビジネスとして運営されている。
だが、ヴォルフは、『Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)』に対し、F1における新たな財政的制限により、メルセデスは小規模チームへエンジンを販売しても、そこから「十分な」利益を得ることはできないのだと次のように語った。
「残念ながら、エンジンをリースするというビジネスは魅力もなければ興味深いものでもないんだ。FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)が、小規模チームを保護するために、顧客に請求できる額に一定の制限を設けているからね」
■2026年以降は新たに2社のエンジンサプライヤーが参入
実際のところ、2026年からは新たなF1エンジンレギュレーションが導入される計画となっており、それに伴ってフォルクスワーゲン傘下にあるポルシェとアウディがエンジンサプライヤーとして参入することがほぼ確定的な状況となっている。
その新しいレギュレーションでは、複雑で高価なMGU-H(熱エネルギー回生システム)が廃止されるなど、F1エンジンのコストがこれまでよりも引き下げられることになると伝えられており、そうなればエンジンサプライヤーとして顧客チームから回収できる売り上げや利益はこれまでよりも小さくなるだろう。
■理想は自分たちプラス2チームの合計6台だとヴォルフ
こうした中、オーストリア出身のヴォルフは、現在の3つの顧客チームのうち2つを維持できれば満足だと示唆している。
「私はむしろ6台(のマシン)を有して、それに沿って開発をさらに推し進め、そしてエンジンを2台少なくしたほうがいいと思っている。なぜなら、製造が2台少なくなっても、すべてのチームに対して2台のスペアを用意する必要があるからね」
「理想的には、我々(メルセデス)プラス2チームかもしれないね。だから、実際のところ少しの削減となるだろう」
ヴォルフは、メルセデスの現在の顧客チームのうち、どのチームが残るのか、あるいはどのチームが減るのかということについては言及しなかった。だが、伝えられるところによれば、アストンマーティン、マクラーレン、ウィリアムズのいずれにも2026年からのF1参入が計画されているアウディと手を組む可能性があると考えられている。