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【F1モナコGP決勝】戦略が勝敗を分けたレッドブルとフェラーリ 「ミスが多すぎる」と怒りのルクレール

2022年05月31日(火)8:55 am

今季のF1第7戦モナコGP予選でフロントロウを独占する強さを見せたフェラーリだが、雨の影響を受けた決勝ではレース戦略のミスにより失速。ドライバーズランキングとコンストラクターズランキングの両方でレッドブルにリードを広げられるという結果に終わってしまった。

■タイヤ戦略でフェラーリを攻略したレッドブル

このレースの勝敗を分けたのは、レッドブルとフェラーリの“戦略”だったと言えるだろう。

雨に翻弄され、レース開始時刻が遅れた今年のモナコGPだが、レースが始まると徐々に路面も改善し、フルウエットタイヤから路面の水量が少ないときに使用するインターミディエイトに交換するドライバーが出始める。

上位勢ではポールポジションからスタートしたフェラーリのシャルル・ルクレールが先手を打ってインターミディエイトに交換するとマックス・フェルスタッペン(レッドブル)もそれに続いた。この時点ではカルロス・サインツ(フェラーリ)がトップに立ち、3番グリッドからスタートしていたセルジオ・ペレス(レッドブル)が2番手に浮上。

その数周後さらに路面が改善してくると、サインツとルクレールが同時にピットに入り、ここでドライタイヤのハードに交換。これでコース上ではペレスがトップ、フェルスタッペンがそれに続く展開となる。ところが、フェラーリ勢はサインツが3番手でコース復帰したものの、ルクレールはランド・ノリス(マクラーレン)の後ろでコースに戻ることになってしまった。

その後レッドブル勢もピットに入り、2台ともにハードタイヤに交換。ここでペレスはサインツの前、フェルスタッペンはルクレールの前でコース復帰することに成功した。

■赤旗中断後、レッドブルはミディアム、フェラーリはハードを選択

そして、その後ミック・シューマッハ(ハース)のクラッシュによる赤旗中断となった際、レッドブル勢はミディアムタイヤに交換。フェラーリ勢は再びハードタイヤを装着。徐々にミディアムタイヤの摩耗が進んできたレッドブル勢を追い上げるフェラーリ勢だが、コース幅が狭く、曲がりくねったモンテカルロ市街地サーキットでのオーバーテイクはほぼ不可能だ。

結局、レース規定時間内に想定された周回数をこなすことができず、3時間が経過したところでファイナルラップを迎えることになり、今年のモナコGP決勝でフェラーリ勢が順位をばん回することはできず、ペレスが今季初勝利を遂げた。

■「白線に触れたのでは」フェラーリのレース後の抗議も実らず

レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、セルジオ・ペレスが今季初勝利を飾ったモナコGP決勝後にメディア取材を受けていた際、チームマネジャーのジョナサン・ウィートレーから緊急の電話を受けていた。

そのとき、ホーナーは記者たちに次のように語っていた。

「フェラーリがマックスに対して抗議を行ったよ」

フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットはこの件に関して次のように説明している。

「我々が抗議を行ったのは明確にしてほしかったからだ」

「これはレッドブルを狙い撃ちにしたものではないが、レッドブルの2台が(ピット出口の)ラインに触れたと考えている。これは過去には常にペナルティの対象となっていた」

実際のところ、2021年のF1第9戦オーストリアGPでは、アルファタウリの角田裕毅がピット入口の白線を踏んだとして2度もペナルティをとられたこともあった。

今回は国際映像でもフェルスタッペンが白線を踏んだのではないかと見える映像が紹介されるなどしていたが、結局のところ統括団体であるFIA(国際自動車連盟)はフェラーリの抗議を却下。これによりペレスの優勝とマックス・フェルスタッペンの3位が正式に確定している。

■ルクレール、戦略ミスに怒り

予選で圧倒的な強さを見せてポールポジションを獲得していたモナコ出身のルクレールは最終的に4位で決勝を終えることになってしまったが、その失望と怒りの矛先はフェラーリの戦略ミスに向けられていた。

「期待外れというのは適切な言葉じゃないよ。こうしたミスは起こり得ることだからね。だけど、あまりにも多くのミスがあった」

そう語った24歳のルクレールは次のように付け加えた。

「こんなことをしているわけにはいかない。とりわけ、今のように僕たちがものすごく強いときにはね」

■判断ミスを認めたフェラーリのボス

フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットも次のように語り、今回の敗因が自分たちの戦略ミスにあったことを認めている。

「我々の判断が正しくなかったのは明らかだ」

■ルクレールの前でフィニッシュできて大満足のレッドブル首脳

一方、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、フェラーリが失態を演じた一方、レッドブルが冷静に戦略を展開することができた理由を質問されると、肩をすぼめるような仕草をしながら次のように答えている。

「彼らがどのような情報を持っていたのかは知らないが、我々は自分たちがやるべきことをやっただけだ」

「我々の戦略担当者はすべてをコントロールし、状況に見事に対応してみせたよ」

そう語った79歳のマルコは次のように付け加えた。

「フェラーリに割って入り、ルクレールの前でフィニッシュできたことが何よりうれしいよ」。

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