レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、かつてレッドブルの契約下にあったダニール・クビアトが再びチームに復帰する可能性を否定した。
ロシア人ドライバーのクビアトは昨年限りでレッドブルのセカンドチームであるアルファタウリのシートを失い、今季はアルピーヌのリザーブドライバーを務めている。
レッドブルの育成ドライバーだったクビアトは2014年にトロロッソ(現アルファタウリ)でF1デビューすると、翌2015年にはトップチームのレッドブルに昇格。だが、2016年シーズン途中でそのシートをマックス・フェルスタッペンに奪われて再びトロロッソに降格。そして2017年シーズン終盤をもってレッドブルから契約を解除されてしまった。
だが、2018年シーズンをフェラーリの開発担当ドライバーとして過ごしたクビアトは、翌2019年には再びレッドブルの一員に迎えられてトロロッソのシートを確保。だが、2020年シーズン限りで再び契約を失うという波瀾万丈のF1キャリアを過ごしている。
『formel1.de』から、そのクビアトが再び戻ってくる可能性はあるかと質問されたマルコは「全くないね」と答え、次のように付け加えた。
「我々は現在のドライバーたちとやることに焦点を合わせているんだ。それに、彼にはアルピーヌとの契約があるしね」
マルコはさらに、やはり2019年にトロロッソからレッドブルに昇格したものの、シーズン前半を終えた時点で再びトロロッソに降格された経緯があるピエール・ガスリー(アルファタウリ)のレッドブル復帰についても否定的だ。
「私の記憶ではガスリーとの契約はあと2年ある。だから、レッドブル・レーシングもしくはアルファタウリのどちらかだ。だが、すでに言ったように、ラインアップについてはまだ考えていないよ」
「これからよく考えて、夏休み中には決定することになるだろう」
最近では、今季アルファタウリからF1デビューさせた日本人ドライバー角田裕毅のことをかなり心配しているマルコだが、やはり今年からレッドブルでマックス・フェルスタッペンのチームメートを務めているベテランF1ドライバーのセルジオ・ペレスに関してはそれほど不安に思ってはいないようだ。
「前向きなことは、ペレスはレースでは力を発揮しているということだ。ときにはマックス・フェルスタッペンと同じレベルですらある」
「しかし、予選では何かプラスアルファを見つけなければならない。そこを改善することが必要だ」
ペレスとレッドブルが結んでいる現在の契約は2021年だけとなっており、レッドブルがペレスとの契約を2022年も継続するのか、あるいはまた誰か別のドライバーと契約を結ぶことになるのかが今後の注目ポイントになってくるのは確かだろう。
「我々はドライバー市場においては非常に人気があるチームだ。だから、我々とじっくり話し合うまでは、誰も交渉しないと思うよ」
そう語ったマルコは、今年起用する可能性があるとうわさされていたニコ・ヒュルケンベルグも今後の候補のひとりになるのかと質問されると次のように答えた。
「彼は今『Servus TV(セアヴスTV)』ですごくうまくやっているよ。視聴率もすごくいいんだ」
『Servus TV(セアヴスTV)』とはレッドブルが共同オーナーとなっているオーストリアのテレビ局だが、今年ヒュルケンベルグはそこでF1解説者の仕事をしつつ、アストンマーティン、そしてメルセデスとの間にリザーブドライバー契約を結んでいる。
マルコは次のように付け加え、ヒュルケンベルグが2022年の候補となる可能性がないわけではないと示唆している。
「彼はアストンマーティンとメルセデスの2チームでリザーブドライバーを務めている。だから、いずれにしても彼には健康を維持しておく必要があるからね」