オーストリアのレッドブルリンクで7月初旬にF1レースが行われる可能性が高まってきているようだ。
レッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、オーストリアの公共放送局『ORF』が運営するラジオ局に次のように語った。
「2レースだ。7月5日と12日の日曜日にね」
レッドブルリンクのオーナーであり、F1オーストリアGPのプロモーターでもあるレッドブルでは7月に“無観客”とはなるものの2020年最初のF1レース開催を実現するために一定の安全対策を講じることを計画している。
そのひとつは新型コロナウイルスの感染検査だ。オーストリアのシュピールベルクにあるサーキットに国外から訪れるF1チーム関係者は必ず事前に検査を受け、陰性であることを確認することを求めることになる。
「これは各チームによって運用されることになり、検査で問題がなかったと判定された人たちがやってくることになる」とマルコは説明している。
マルコはさらに、レッドブルではすでに400名に及ぶスタッフたちを対象として新型コロナウイルスの感染検査を開始していることを明らかにし、次のように付け加えた。
「これは我々が大勢のテストを速やかに行えることを示すものだ」
また、地元もレッドブルリンクでのF1開催を後押ししているようだ。シュピールベルクの観光当局者も『ORF』に対し、もしF1レースを実現できれば、それは「今回の危機により非常に厳しい状況にある世界、そしてこの地域にとって天の恵みとなるだろう」と語っている。
ドイツ出身の元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハはこの件に関してテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』に次のようにコメントしている。
「政府も関与しているし、観客がいないためレッドブルが全ての資金を提供しているんだ」
シューマッハによれば、レッドブルリンクではレース開催時にサーキットを訪れる1000人もの関係者が「他者との間隔を十分にとれる」よう整備されているという。
マルコは、これまでにすでに関係当局からの「全ての公式要請に適合させることができている」と語っている。
これまでに報じられたところによれば、レッドブルリンクの次にF1を開催するのはイギリスのシルバーストン・サーキットの可能性が高いと考えられているが、マルコも「ほかのヨーロッパの主催者たちとの話し合いも行われている」としている。
メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(チームCEO)もオーストリア出身だが、レッドブルリンクでのF1開催を前向きにとらえているようだ。
ヴォルフは『Osterreich(エステルライヒ)』に次のように語った。
「もしオーストリアの意思決定者たちが必要な安全対策とともにシーズンを開始するための構想を見つけられるなら、それはF1にとって非常に明るいニュースだ」
だが、F1がシーズンを開始するにあたって目指すべき最初の目標はファクトリーでの作業再開だ。
「F1でのロックダウンは5月末に終わることになる」
『Kleine Zeitung(クライネ・ツァイトゥング)』にそう語ったマルコは次のように付け加えた。
「その時点からチームたちは再び仕事を始めることになる。だからといって間違いなくシュピールベルクで7月にレースができるということにはならないがね」