F1モータースポーツ責任者を務めるロス・ブラウンが、F1にはもうしばらくDRSが必要だとの見解を示した。
昨年からF1新オーナーとなったリバティ・メディアは最近、経営破たんに陥って2016年シーズン限りで姿を消したマノーF1が最後に作っていた風洞モデルを購入して、F1にもっとオーバーテイク(追い抜き)を増やすためにはどうすればいいのかということについての研究をスタートさせたと伝えられている。
■当面はDRS使用を継続
もちろん、その研究をリードするのはかつてフェラーリなどで名エンジニアとして名をはせたブラウンだ。そのブラウンは、追い抜きのチャンスを増やすために特定の区間でリアウイングを開いて空気抵抗を減らすDRSシステムについて、本来F1にとっては好ましくないものだとの考えを持っていることで知られている。
だが、このほどブラウンは『Business Life(ビジネス・ライフ)』に次のように語った。
「短期的にはDRSを使い続けることになるだろう」
「私としてはクルマの開発によってそれ(DRS)が必要のないところまでいくことを期待している。だが、近いうちにそうはできないだろう」
ブラウンは、リバティ・メディアは今後何らかの変更を行うにしても、間違った方向へ進むことは絶対に避けなくてはならないと考えているのだと主張し、次のように付け加えた。
「レースの改善に動く前に、我々は現状を完全に理解する必要がある。直感で物事を進めることもできるが、現在のクルマがどれほど複雑なものであるかを考えればそれで十分だとは言えないからね」
■レース改善のためには速度を犠牲にする可能性も
2017年にはF1カーの技術レギュレーションが大きく変わり、より大きなダウンフォースを生む、より速いクルマへと生まれ変わった。だが、その反面、オーバーテイクはこれまでよりも難しくなったと考えている者もいる。
ブラウンも今後F1は1周のラップタイム重視の考え方を改める必要があるかもしれないと考えているようだ。
「スピードは重要な役割を演じるものだし、ファンは最速のクルマを見たいと思っているものだ」
そう述べたブラウンは次のように付け加えた。
「だが、よりレースを面白くするためには、スピードをいくらか犠牲にする心づもりもあるよ」