夏休み前最後のレースであった今季の第11戦ハンガリーGPはフェラーリの1-2フィニッシュで終わった。レース終盤にはメルセデスAMGのルイス・ハミルトンが2番手を走行していたキミ・ライコネンのフェラーリマシンを追い上げる一幕もあったが、抜きどころのないハンガロリンクだけに逆転することは不可能だった。
チームオーダーによりいったんチームメートのバルテリ・ボッタスの前に出ていたハミルトンだったが、フェラーリ攻略に失敗したため、ゴール直前でボッタスに順位を譲り返し、結局4位でレースをフィニッシュ。これによりランキングトップのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)とはまた14ポイントに差が開いてしまっている。
狭くて曲がりくねったハンガロリンクではフェラーリが強さを見せたが、夏休み明けに行われる第12戦ベルギーGPの舞台となるスパ・フランコルシャン・サーキットや、続く第13戦イタリアGPの開催地モンツァ・サーキットのような高速サーキットではメルセデスAMGの方が強いのではないかと見られている。
■ハンガロリンクでのフェラーリはもっと速かったはず
だが、メルセデスAMGを率いるエグゼクティブディレクターのトト・ヴォルフは、スパでもフェラーリが速さを見せる可能性は十分にあるだろうと警戒している。
ヴォルフがそう考えている理由のひとつは、フェラーリがハンガロリンクではその本当の速さを示していなかったと思われるためだ。
「(ハンガリーでは)彼らの本当のペースを目にすることはできなかったと思っている。なぜならセバスチャンのクルマにはステアリングが左に向いてしまうという明らかなダメージがあったからね。それに、セバスチャンがピットに入ったあとでキミの前がクリアになったときには、彼はすごく速いセクタータイムを刻んでいたよ」
そう語ったヴォルフは、あのときフェラーリがベッテルとライコネンを自由に戦わせていたならば、恐らくはライコネンがベッテルを追い抜いていただろうと続け、次のように付け加えた。
「同様に、より新しいタイヤを履いてはいたものの、フェルスタッペン(レッドブル)もかなりのペースで追いついてきていたし、誰かが私にアロンソ(マクラーレン)がこのレースでの最速ラップタイムを刻んでいたと教えてくれた。だから、フェラーリが本当の速さを見せていたとは思えないんだ。クルマがダメージを負っていたからね」
■ライバルチームによるコピーはいい兆候だとベッテル
一方、ハンガロリンクでまた宿敵ハミルトンとのポイント差を開いて夏休みに入ることに成功したベッテルが今季のフェラーリの進歩を喜んでいるのは確かだ。
2016年には1勝もあげることができなかったベッテルだが、今季はここまでにハミルトンと並ぶ4勝をあげている。
「過去2年については僕たちには最高のクルマがなかったのは事実だし、ここまでの数年間僕たちがクルマの開発において最強ではなかったのも事実だ。だけど、今年の進歩により今では状況が違ってきているし、まだ進歩を続けているよ」
そう述べたベッテルは次のように付け加えた。
「僕たちはさまざまなものを持ち込んだし、ほかのチームが僕たちのコピーをしているのも目にしてきた。だけど、それはいい兆候だし、このクルマとこのプロジェクトが懸命にいい仕事をして成果を生んだことを証明するものだよ。これからも全力で頑張り続けるつもりさ」