トップF1チームの首脳たちが、新たな一歩を踏み出したF1新体制に期待していると発言した。
今週、長期的にF1最高責任者のポストにあったバーニー・エクレストンがその職を解かれ、新たなF1最高責任者にチェイス・キャリーが就任したことが発表された。
さらに、そのブレーンとして2013年までメルセデスAMGのチーム代表を務めていたロス・ブラウンがスポーツ担当マネジングディレクターに、アメリカのスポーツ専門テレビ局ESPNの副社長を務めていたショーン・ブラッチスがマーケティング担当マネジングディレクターに就任したことも明らかになった。
■エクレストンの功績は大きいが問題もある
レッドブル総帥ディートリッヒ・マテシッツの右腕としてレッドブルとそのジュニアチームであるトロロッソのドライバー育成責任者を務めるヘルムート・マルコは、母国オーストリアの『Salzburger Nachrichten(ザルツブルガー・ナッハリヒテン)』に対し、これまでのエクレストンの功績をたたえつつ次のように語った。
「バーニーは何もないところから世界的なショーを作り上げたし、我々も含め、多くの人々を金持ちにしてきた。だが、我々は同時に問題が潜む部分があることも分かっている」
エクレストンがF1運営の第一線からはずれ、新たな首脳部が動き始めることで、今後F1がどう変わっていくのかに注目が集まることは確かだ。
■F1の原点復帰を示唆するブラウン
新たにF1のスポーツ担当責任者に指名されたブラウンは、F1をある程度危険が伴うレースとして維持する必要があるとの考えを示すとともに、DRS(空気抵抗を一時的に減らして追い抜きを助けることを目的とした可変リアウイング)のようなシステムについては見直しを行う可能性も示唆している。
「ファンは本当にそれ(DRSによる追い抜き)を見たいと思っているだろうか?」
そう語ったブラウンは、次のように付け加えた。
「みんなはエンターテインメントを欲しているんだ。接近戦を期待し、何が起きているのかが理解できるものであって欲しいと考えているよ」
■今年はF1改革初年度だとマルコ
ほかにも新F1首脳陣が抱える課題はある。例えば各チームの予算上限を設定することや、フェラーリに対して伝統的に支払われてきた1億ドル(約114億円)とも言われる特別ボーナス廃止の件、さらに年間のレース数を最大25に増やすことなども懸案となっている。
こうした件に関し、マルコは次のように語った。
「実際のところ、すべて2020年までは契約によって定められている」
「だが、短期的にやれることもたくさんあると思っている。このスポーツをもっとオープンなものにしていくべきだ。今年はその始まりにしか過ぎないよ」
■F1新執行体制を評価するヴォルフ
一方、メルセデスAMGのトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)は、ドイツの『DPA通信』に対し、今週F1で起きた動きは、「ひとつの時代の終わりと、新たな時代の始まりを告げるものだ」と語っている。
そのヴォルフは、F1の新首脳部に期待していると次のように続けた。
「彼らはその道での専門家たちだ。ロス(ブラウン)はF1のことがよく分かっているし、ショーン(ブラッチス)は商業面のことなら何でも知っている。だから、これは我々にとってはいいニュースだよ」
「チェイス(キャリー)がF1の責任者だ。だが、彼はスポーツ面と商業面のことに対応するディレクターたちを擁している。これはいい構成だよ」
そう述べたヴォルフは、次のように付け加えた。
「ロスにこの役割が与えられたのは、彼(キャリー)が自分が経験のないエリアの強化を目指していることを示すものだ」