NEXT...F1開催スケジュール

女性F1チーム代表 ザウバーの現状を語る

2016年06月07日(火)18:55 pm

唯一の女性F1チーム代表として知られるモニシャ・カルテンボーンが、現在ザウバーが置かれている状況などについて語った。

厳しい財政状況に置かれているザウバーだが、前戦F1モナコGP決勝ではフェリペ・ナッセとマーカス・エリクソンが同士打ちクラッシュを演じて2台ともリタイアに終わるという最悪の展開となってしまった。

■ドライバーはチームの利益を最優先すべき

ザウバーの共同オーナーでもあるカルテンボーンは、モナコでの同士打ちは「受け入れられない」ものだったと認めたが、すでにチーム内で事態の収拾が図られていると語っている。

だがカルテンボーンは、ナッセとエリクソンのスポンサーがチームにとって重要な資金を支払ってくれているのは事実ながら、だからといってドライバーたちの身勝手な行為が許されるわけではないと『SonntagsBlick(ゾンタークスブリック)』に次のように語った。

「ペイドライバーであろうがなかろうが、常にチームの利益を最優先すべきなのです」

■商業面では成功しているとザウバー

しかし、資金不足に苦しみ、2016年型車の開発もままならないザウバーは、今季ここまでにまだ1ポイントも獲得できていない。

F1の世界は、今ザウバーがゆっくりと死に向かっているところを目にしているのだろうかとの厳しい質問を投げかけられたカルテンボーンは次のように答えた。

「私はそうは思いません。違います」

「会社として、私たちには2つの面があります。ひとつがスポーツの面です。これはメディアにも取り上げられてみなさんの目にも見えますが、そこでは私たちは本来あるべき状態とはなっていません」

「もうひとつは、商業面です。これに関してはスイスのほかの中規模企業同様、すべてを開示する義務はありません」

「ですが、このエリアではここ数年にわたって私たちは強さを増していますし、一貫してビジネスを拡大してきています。メディアが報じる推測は我々の役には立たないものですが、実際のところ、状況は逆なのです」

■遅れはあったが賃金支払いを欠かしたことはない

今年に入って300人に及ぶチームスタッフへの給与遅配という事態もたびたび起こしているザウバーだが、5月分の賃金は無事に支払うことができたのかと質問されたカルテンボーンは、「これまでのように私たちは常に解決策を見つけ出していきます」と答え、次のように付け加えた。

「遅れるのは悩ましいことです。しかし、遅れがあったにせよ、私たちは常に支払いは行ってきています」

■フォース・インディアとは使っているエンジンが違う

財政難が続くことで悩ましく感じているのはドライバーたちも同じだろう。ライバルチームたちがどんどん2016年型車の改善を続けている中で、唯一ザウバーだけが取り残されている状況だ。

モナコで2人のドライバーが同士打ちを演じてしまった背景には、そういったことへのフラストレーションもあったのではないかと尋ねられたカルテンボーンは次のように答えている。

「いいえ、そのこととは関係ありません」

「しかし、もちろん厳しい状況となっていますし、関係者全員が不満を感じているのは確かです」

だが、同様に厳しい財政状況に置かれているフォース・インディアは、少なくともザウバーよりはいい仕事をしてきている。モナコGPではセルジオ・ペレスが3位表彰台を獲得するという活躍も見せていた。

「私たちは自己批判的であるべきでしょうね」

そう語ったカルテンボーンは、次のように続けた。

「クルマの開発ということに関しては、彼ら(フォース・インディア)のほうが私たちよりもいい仕事をしました。しかし、彼らは圧倒的な力強さを発揮するメルセデス製のドライブトレインを使っているのです」

「私たちも自分たちのクルマをもっと開発していくつもりです。しかし、飛躍的な改善は見込めないでしょう。それでも、私たちはポイントを獲得することができるはずだと考えています。難しいことでしょうが、不可能なことではありません」

■今の状況を招いた責任はないとカルテンボーン

チーム代表として、自分に現在の状況を招いた責任があると思っているかと問われたカルテンボーンは、次のように答えた。

「いいえ。私はなぜこのような状況に陥ったのかは分かっています。そして、どのようにしてここから抜け出せばいいかも分かっているのです」

「難しいことですし、ストレスに満ちています。しかし、私たちはうなだれたりはしません。私たちには新しい強力なパートナーが必要であることは明白です。ですが、私たちは多くの方向性を視野に入れながら交渉を持っているところです」

■ハースのマネをするつもりはない

そう語ったカルテンボーンだが、ザウバーでは今年から新規参戦を開始したハースのように、トップチームの“Bチーム”になりさがるつもりはないと次のように主張した。

「そういう選択肢は私たちにはありません。私たちはひとつのチームですが、多くの経験と素晴らしい基盤を持つ技術会社でもあるのです」

「F1は、3つの大きなワークスチームによって争われているDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)のようになってはならないのです。F1は多様性と技術的挑戦の上に繁栄していくものですからね」

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック