ザウバーのフェリペ・ナッセが、2017年シーズンに向けてほかのチームへの移籍を考えているとの報道を否定しなかった。
非常に厳しい財政状況に置かれているザウバーだが、今季のクルマの開発も行き詰まったまま、チームが存続できるかどうかの瀬戸際に追い込まれていると伝えられている。
■ナッセ、メインスポンサーとともにチーム移籍を検討か
そんな中、ブラジル出身のナッセと、チームメートであるスウェーデン人ドライバーのマーカス・エリクソンが前戦F1モナコGPでは同士打ちを演じて2台ともリタイアとなる事態を招いていた。
そのクラッシュに関しては、チームがエリクソンを前に出すように再三無線で指示をしたにもかかわらず、ナッセがそれを無視したために起きたものだとして、チーム代表のモニシャ・カルテンボーンはナッセに非があったとコメントしていた。
だが、現在のザウバーの主要スポンサーとなっているブラジル銀行は、ナッセが引き連れてきたものだ。そして、現在のスポンサー契約は今季いっぱいで満期を迎えることになっている。そして、ナッセとブラジル銀行は、それを機にザウバーとの関係に終止符を打ち、新たなチームを模索することになるだろうという報道が行われているのだ。
■選択肢は複数あるとナッセ
23歳のナッセは、そうした報道内容を否定することなく、ブラジルの『Globo(グローボ)』に次のように語った。
「僕はF1に来てから多くの夢を描いていた。自分が達成したいと思うことをね。そしてそれは今も同じさ」
「僕はチャンスを失いたくはない。僕のために優秀な人たちが働いてくれているし、僕たちが2017年に向けて次の段階に進むことができるのは確かだよ。可能な選択肢を検討するためにね。現時点では何をするにも早すぎるかもしれないけれどね」
「シーズン中盤あたりから、どういう選択肢があるかということについての話を始めることになると思っている。今言えることは、僕たちには選択肢があるということさ。たったひとつだけということはないんだ」
■ザウバーもイギリスGPで改良マシンを投入
財政不足もあり、ライバルチームに比べると2016年型車の開発が遅れているザウバーだが、『Globo(グローボ)』によればザウバーも第10戦イギリスGP(7月10日決勝)に向けてクルマの改良を行うことを計画しているという。
そのことについて質問を受けたナッセは、次のように説明した。
「優先するのは空力だね。僕たちのクルマのダウンフォースはすごく小さいんだ。それによってクルマは不安定になっている」
「ブレーキングや加速力におけるパフォーマンスを高められるかどうかも、すべて空力の開発次第なんだ。それに、言うまでもないことだけど、僕たちの(フェラーリ製)ドライブトレインも全体的に改善されるしね」
■ポイント獲得は今のザウバーにとっては勝利にも等しい
現時点では、ザウバーはまだチームとして1ポイントも獲得することができていない。そのことについて、ナッセは次のように付け加えた。
「ポイントを取るために何でもするつもりだよ。それが達成できれば僕たちにとっては勝利にも等しいものだと思うからね。だけど、それが今の僕たちが置かれている状況なんだ」