今年からシーズン途中のヘルメット・デザイン変更が禁止されたが、実はこの規則が妥協の産物だったことが20日(金)、明らかになった。
シーズン中、ドライバーはヘルメットのデザイン変更禁止とのお達しは、大きな議論を呼んでいる。
たとえばGPDA(F1ドライバーズ協会)会長のアレックス・ブルツだ。「ひとつのことを貫く姿勢は好きだよ。でも、冗談だろ!次は何?髪型の規則とか?」
フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)は、なぜデザイン変更禁止が騒ぎになるのか不思議そうだ。
「ヘルメットは第二の顔だ」とマッサ。このところ彼は、濃い青を基調に蛍光色をあしらったデザインに固定している。
「毎回デザインを変える必要がどこにあるのか、僕には分からないよ」
今後、ドライバーはヘルメットに手を加えてはならない。ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、こうした対策がレースの観客動員やテレビの視聴率に結びつくと指摘している。皆、ドライバーを覚えさせるのに必死なのだ。
ヘルメットだけではない。ジャン・トッドFIA(国際自動車連盟)会長とバーニー・エクレストンは、マシンのゼッケンをもっと大きくするよう働きかけたことがあるという。ところがこの要請はチーム側に却下された。スポンサー用のスペースが減るというわけだ。
するとトッドは、先日ジュネーブで開かれたF1委員会で、ルマン24時間のスポーツカーよろしくエンジンカバーに巨大なヒレを付けるよう提案。そのスペースにゼッケン、それにドライバーの氏名と国旗をあしらうのだという。
「(レースの)主催者たちには喜ばれた」と『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』のミハエル・シュミット記者。「だがこれもチーム側は、はねつけた。技術陣が拒否反応を示したのだ」
それで結局、ヘルメットのデザイン変更禁止に落としどころを見出した。
「この規則は筋が通っている」と賛成するのは、元F1世界チャンピオンでメルセデスAMGのチーム会長ニキ・ラウダだ。「たまに、マシンに乗った自分のドライバーたち(ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグ)も見分けがつかないぐらいだ」