最高のF1カーデザイナーと称されるレッドブルの最高技術責任者エイドリアン・ニューイを引き抜こうとしたのは、これまでに報じられていたフェラーリだけではなかったようだ。
F1モナコGP(第6戦)が開催された先週末のモナコにおいて、フェラーリのチーム代表であるマルコ・マティアッチは、フェラーリが日本円にして数十億とも言われる額を示してニューイに誘いをかけたとの報道を否定していた。
だが、一方でレッドブルはわざわざメディア向けの声明を出し、そこには、ニューイの「私は当面の間レッドブルに専念し続ける」とのコメントが引用されていた。
そして、レッドブルがその声明の中に「フェラーリに関するうわさ」への対応であるという旨を書かなかったのは、実はニューイの引き抜きにかかっていたのはフェラーリだけではなかったためだったことが明らかになった。
レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、『Kleine Zeitung(クライネ・ツァイトゥング)』紙に対し、いくつかのチームがレッドブルのチームスタッフをその気にさせるために「ほぼ2倍」の報酬額を提示して誘いをかけてきていたことを明らかにした。
「我々だって、うちのメンバーにはかなりいい給料を支払っているよ」、とマルコは付け加えている。
そのレッドブルのチームスタッフの中でも、やはり一番のターゲットとなっているのがニューイであることは間違いないだろう。マルコは、ニューイがメルセデスAMGの非常勤会長であるニキ・ラウダからも口頭で誘いを受けていたことを明かしている。
『Kleine Zeitung(クライネ・ツァイトゥング)』はさらに、「マルコは、フェラーリのルカ・ディ・モンテゼモーロ会長が2週間前に(スペインGP開催中の)バルセロナに行き、(ニューイに)彼のオファー条件を提示したと語った」と書くとともに、マルコの意味深長なコメントを次のように引用している。
「ニューイは、追って発表があるまでは、レッドブルにとどまることを決めたよ」