ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が、今季のF1タイトル争いのライバルであるチームメートのニコ・ロズベルグとの間に、もっと「激しい」戦いが繰り広げられることを期待しているとほのめかした。
ハミルトンとロズベルグがメルセデスAMGでチームメートとなったばかりの2013年には、2人がまだ少年だったころに、ふざけてレスリングをしたり、ピザの大食い競争をしたりして遊んだことを楽しそうに思い返していた
ロズベルグは、つい先週までは、今季第2戦以降4連勝を飾ったハミルトンが、自分のモナコのアパートを訪ねてきて即席のハンバーガーを食べさせろと言ってきても、それを歓迎していたと語っている。
だが、ハミルトンは、2008年以来のF1タイトル獲得の可能性を意識し始めるに従い、ロズベルグを友人としてではなく、ライバルとして強く意識し始めているようだ。
モナコで行われたF1公式サイトのインタビューで、ハミルトンは自分のほうがロズベルグよりも「飢えている」とし、それはそれぞれの育った環境の違いだと語っている。ハミルトンによれば、ロズベルグは「ジェット機やホテルやボート」に囲まれて育ったものの、自分は「見るべきところもない」イギリスの郊外の町で、「長椅子(いす)の上」で寝て育ったという。
今年のメルセデスAMGのハミルトンとロズベルグを、1988年にマクラーレンが圧倒的な強さを誇っていたときのアイルトン・セナ対アラン・プロストに重ね合わせて考える者もいるかもしれない。
そして、ハミルトンは、セナのように気性が激しく、攻撃的。ロズベルグのほうはプロストのように抜け目のない考え方をするタイプだと考えられるだろう。
この比較について意見を求められたハミルトンは、ほほ笑みを浮かべながら次のように語った。
「彼ら(セナとプロスト)の間の戦いは、現時点での僕たちの間のものより、もっと激しかったんじゃないかと思うよ」
「僕たちの場合は、まったく素晴らしい関係だよ」とハミルトンは笑った。
だが、ハミルトンは、仮に1988年に鈴鹿で起こったことと同じような形で決着がつくようなことになっても、それはそれで「すごい」ことだと認め、実際のところロズベルグとの間の戦いがさらに「激しい」ものになるのも歓迎だとほのめかしている。
鈴鹿サーキットで行われた1988年のF1日本GPにおいて、セナとプロストの戦いは両者がシケインで接触するという最悪の形で終えられていた。
「僕が彼(ロズベルグ)をリタイアさせてしまうという意味じゃないよ。でも、彼ら(セナとプロスト)の戦いが鈴鹿でああいう形でクライマックスを迎えたのはかなりすごいことだよ」
そう続けたハミルトンは、次のように付け加えている。
「これから時間がたつにつれ、いろんなことがもっと激しさを伴ってくると思うよ。そして、何年かしたらそれを振り返って、あのときはあんなことがあったねと言えるようになればいいと思っているんだ」