贈賄(ぞうわい)の疑いで起訴され、厳しい立場にあるF1最高権威者バーニー・エクレストンに味方が現れた。現F1世界チャンピオンのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)だ。
元銀行家ゲルハルト・グリブコウスキーに巨額の賄賂(わいろ)を払ったとしてドイツの検察当局に起訴されたエクレストン。何年も前にF1の権利を取得したCVCキャピタル・パートナーズに対し、おびただしい量の関係書類を開示するようロンドンの裁判所から命令が下って、エクレストンの肩身は狭くなるばかりだ。
イギリス『Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)』紙によると、書類の中には、2006年、CVCにF1の権利を売却した際、意図的に価値が低く見積もられたとしてドイツのメディアグループ『Constantin Medien(コンスタンティン・メディエン)』が1億7,100万ドル(約171億2,100万円)の訴訟を起こしたときのものも含まれているという。
ここ最近、F1のパドックでは、何十年も続いたエクレストンの終えんも近いと感じてか、ほとんどの者がトラブル続きの彼について言葉少なだ。
しかし、ベッテルは違う。ドイツ『Bild(ビルト)』紙にベッテルはこんなことを話している。「F1をこれほどの高みに押し上げた人物が彼であることに、異論はないよね」
また、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)も次のようにコメントをしていたという話だ。「彼は、長年に渡ってF1にとてつもない貢献をした人だ」
先読みをしたがるメディアは、エクレストンの後継者候補にクリスチャン・ホーナーの名を上げる。レッドブルの現チーム代表で、ベッテルのボスだ。
しかし、ホーナーはそんな展望を一蹴する。「今は自分の仕事で手いっぱいだよ」
「(エクレストンには)これからも長きにわたって仕事を続けてもらいたい」と、イギリス『Daily Mail(デイリー・メール)』紙に話すホーナー。
「彼の手腕と実行力で、今のF1はビジネスとして成り立っているんだ。そんな彼がいなくなるなんて想像がつかない」