F1第6戦モナコGPでチームの指示をやぶりファステストラップを記録したセバスチャン・ベッテル(レッドブル)だが、本人はその理由を退屈しのぎと明かしている。
レース終盤、トップのニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)の後方を走っていたベッテルは、ファステストラップを記録するまでペースを上げ続け、無線でチームの叱責を受けた。
「77周ダラダラ走るより楽しんでやろうと思っただけさ」と、ベッテルはコメントしている。
「こっちはちっとも楽しくなかったよ」とは、ベッテルの担当エンジニア、ギョーム・ロケリンだ。
繊細なピレリタイヤをスタートからフィニッシュまで労っていたベッテルだが、イギリス『BBC』解説者のデビッド・クルサードは、その気になればいくらでも速く走れるのを目の当たりにして現在のF1を“ナンセンス”と切り捨てた。
ベッテルはこう語っている。「別に無茶をしようとしているわけじゃない。エンジニアと無線で言い合いしたことは悪かったと思っているよ」
「でもね、これがF1レースの実態なんだ。ほんとうは1周3秒も速く走れるのに」と、ブラジル『Totalrace(トータルレース)』に語るベッテルは次のように続けた。
「きっとドライバーは誰もレースを楽しんでいないよ。間違いない」
「F1もある程度はスポーツ・エンターテインメントとしてよくできていると思うけど、ただ数珠つなぎで走ってチェッカーフラッグを待つだけってどうなんだろう。そんなレースをみんなは見たいのかな」
ベッテルは、次戦カナダGP以降に予定されるピレリタイヤの仕様変更が現状打破のきっかけになってくれればと願っている。