F1第2戦マレーシアGPで、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)がチームからの指示を無視してチームメートのマーク・ウェバーを抜いて優勝し、物議を醸しているが、怒ったウェバーがチームを去った場合の後任候補に関する記事まで出てきている。
ウェバーが次の中国GP(4月14日決勝)をボイコットするとか、今シーズン末を待たずにチームを去るのではないかといった憶測が出ていたが、ウェバーの関係者やレッドブルはこれを否定している。しかし、現在36歳でチームと1年契約を結んでいるウェバーが来年以降もチームに残る可能性は低くなったと見られている。
ベッテルの行為をめぐっては、1レース出場停止にすべきだという意見もある。
「ドライバーにこうしろと言ったのに従わないというのは、非常に深刻な問題だ」とマクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュは話している。「また、契約違反でもある」
ウィットマーシュは、出場停止などはあり得ないという考えだ。「こういうドライバーたちを、規律を押しつけたり契約違反だと脅したりして操ることはできない。そこまで真剣に腹を立てているなら別だが」
F1最高責任者のバーニー・エクレストンも同じ意見だ。「(ベッテルを出場停止にすることは)私なら考えることすらしないと思うね。セバスチャンにはこう言うだろう。“今後、私がバカにされるようなことをするな”」
しかし現実的には、ウェバーがベッテルと信頼し、協力し合える関係を築けるかどうかを考えることより、その先を見据えてレッドブルが動く可能性のほうが高いだろう。
こうした報道に刺激を受けたのが、スイスの『Blick(ブリック)』紙だ。記者のロジャー・ブノワは、レッドブルのリザーブドライバーでスイス人のセバスチャン・ブエミが舞台の袖で今か今かと出番を待っていると書いている。
世界的エナジードリンクメーカーのレッドブルは、姉妹チームとしてトロ・ロッソも所有しており、そのドライバーであるダニエル・リチャルドとジャン・エリック・ベルニュと入れ替わるという案もある。
だが、トロ・ロッソのチーム代表フランツ・トストは、『Blick(ブリック)』に次のように語った。「レッドブルとトロ・ロッソの間でドライバーが交代することは絶対にない」
ドイツの『Bild(ビルト)』紙は、2014年の候補として、ウェバーと同じオーストラリア人のリチャルドを挙げている。
また記事は、レッドブルのジュニアチームに所属するアントニオ・フェリックス・ダ・コスタにも触れている。しかし、ダ・コスタの現実的な次のステップは、まずトロ・ロッソでのシート獲得だろう。
『Der Spiegel(デア・シュピーゲル)』は、2014年の契約に関する検討は「夏に」始まるというレッドブルの広報担当の話を伝えている。
ウェバーとベッテルは一緒に仕事を続けるかと聞かれたエクレストンは、次のように語った。「続けるさ、もちろん。当然続ける」
それは2014年についてなのかと聞かれると、「それは私には分からない」とエクレストンは答えている。