F1マレーシアGP決勝でチームメートのマーク・ウェバー(レッドブル)を抜いて優勝を勝ち取ったセバスチャン・ベッテル。ベッテルはチームの指示を無視してウェバーを抜いていたが、ベッテルを擁護する意見もある。
かつて3度F1チャンピオンに輝いた実績を持つ元F1ドライバーのジャッキー・スチュワートは、ベッテルの行為に幻滅したようだ。
「私はベッテルについて、これまでレースの世界で会った中では、25歳ながら、もっとも知的で、よくこの世界が分かっていると思っていた」
『Independent(インデペンデント)』にそう語ったスチュワートは、次のように続けた。
「だが、もうそんなことはない」
しかし、F1という世界最高峰の舞台で戦うレーシングドライバーとして、チームの指示を無視してでも勝利にこだわる姿勢が必要だと考えるファンや関係者がいるのも事実。『BBC』で解説者を務める元F1ドライバーのデビッド・クルサードもベッテルを擁護し、「25歳の人間に40年分を詰め込むことはできないよ」とコメントしている。
一方、レッドブルもこの事態を収拾するために最善を尽くしているようだ。チーム代表のクリスチャン・ホーナーはベッテルやウェバーとの面談を行っている。そしてレッドブルのモータースポーツアドバイザーのヘルムート・マルコは、レース後に行われた技術ミーティングにおいて2人が握手を交わしたことを明らかにした。マルコは『Bild(ビルト)』紙に次のように語った。
「彼ら2人の間の信頼関係を再構築しなければならない。だが、われわれから見れば、それはもう済んだよ」
さらに、マルコはベッテルを擁護するような発言を続けている。
「もし屈指のドライバーたちがお互いの車輪が接触し合うような接近戦を演じているときは、もう無線で何を言ってもムダだ」
「制御不能の状況になってしまったんだ」
どうやらマルコはベッテルの方に肩入れしているようだ。マルコは、マレーシアGPでは追いすがってくるメルセデスAMGにレッドブルが2台とも「飲み込まれてしまう危険」があったとも指摘している。
だが、そのマルコも、レッドブルのオーナーであるディートリッヒ・マテシッツは「不機嫌だった」ことを認め、次のように続けた。
「われわれはセブに対し、もう二度とこういうことはするなとくぎを刺しておいた。もうこんなことは起きないと思う」