わずか数日前にドイツGPを終えたばかりのF1だが、早くも次なる戦いの舞台ブダペストへ移動し、8月の夏休み期間前に最後となるハンガリーGPへ挑む。
・開催サーキット
ハンガリーGPが開催されるのはハンガロリンク。曲がりくねっており、1周の平均速度が低いコース。曲がりくねったコースであるため、コース上での追い抜きは非常に難しい。そのため、予選結果と決勝結果がほとんど同じになってしまうことも多いレースだ。
数年前にコースが改修されたことで、1コーナーでの追い抜きが以前よりもやりやすくなったが、ここが唯一とも言える追い抜きのチャンスになる。抜ける場所が少ないため、予選で1つでも前の順位になることが欠かせないコースだ。
1周の平均速度が遅く、曲がりくねっており、いわゆる「低速コース」に分類されるものの、実際には比較的高いスピードで各コーナーを通過していく。また、次から次にコーナーがやってくるため、ドライバーは休むことができず、高温になることも多いため、体力的には厳しい。
休むことができないのはタイヤも同じであり、その分タイヤへの負荷は高くなる。タイヤサプライヤーのピレリがハンガリーに持ち込むドライタイヤは、4種類あるうち中間の硬さであるソフトとミディアム。ソフトはタイヤ側面のロゴが黄色、ミディアムはロゴが白になる。決勝では、雨用のタイヤを使用しない限り、この2種類のドライタイヤ両方を使用しなければならない。
・今年は雨の可能性も?
例年、暑さが話題になるハンガロリンクだが、今年は雨の可能性も指摘されている。天気予報によると、グランプリ期間中の3日間はいずれも最高気温が30℃を超える予報になっているが、27日(金)と29日(日)に雨の予報が出ている。これがレースへ影響を与える可能性は高い。
特に、予選や決勝の最中に天候が変化した場合、タイヤ交換のタイミングがレース結果を左右することも多く、それによって優勝を逃すこともあれば、逆に優勝のチャンスを手にすることもある。そのため、セッション中に天候が変わる際には、天候変化にタイヤを合わせ、状況をうまく味方につけることが重要になる。
・優勝争いは?
現在ランキングで首位に立ち、前戦ドイツGPで今季3勝目を記録したフェルナンド・アロンソ所属のフェラーリは、今回も優勝候補になってくるだろう。また、チーム部門のランキングでトップになっているレッドブル勢も優勝を争うとみられる。
その一方、マクラーレン勢には不安も残る。決勝ではジェンソン・バトン(マクラーレン)が速さを見せて2位に入ったものの、雨がらみで刻々とコンディションが変化していった予選でマクラーレンは競争力を欠いていた。ドライバーは2人ともタイヤに熱を入れられなかったとコメントしているが、この問題を解決できずにハンガリーGP決勝が雨になった場合、マクラーレンが失速する可能性もある。
また、ロータス勢にも優勝のチャンスはあるとみられる。開幕から速さを見せ続けているものの、なかなか優勝には結びつけられていないロータス。暑いコンディションを得意にしていることから、もし予選と決勝が暑いコンディションで戦われれば、チャンスは大きいだろう。しかし、雨になった場合にロータスがどのような競争力を見せるのか未知数だ。
・小林可夢偉、ザウバーの動向は?
前戦ドイツGPでは、ほかのドライバーがペナルティーを受けて降格したこともあり、繰り上がりで自己最高位更新となる4位に入った小林可夢偉。このところツキに見放されたようなレースが続いていたが、可夢偉本人もこれで流れが変わることを期待している。
ドイツGPでザウバー勢は、ドライでは速かったものの、ウエットコンディションではライバルに後れを取っていた。決勝がウエットになる可能性があることも考えると、ウエットで失速した原因を突き止め、対策することがいい結果を残すカギになるだろう。
ハンガリーGPを終えると、F1は3週間の夏休み期間に入る。どのドライバー、チームもいい結果を残して夏休み入りすることを目指すハンガリーGPは、27日(金)現地時間10時(日本時間17時)に開幕。決勝は、29日(日)現地時間14時(日本時間21時)にスタートする。