セルジオ・ペレス(レッドブル)の将来に再び暗雲が立ちこめ始めているかもしれない。
●【2023F1第17戦日本GP】全セッションの結果・開催スケジュール
先週末に鈴鹿サーキットで開催された2023年F1第17戦日本GPは、現F1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンが2戦ぶりに表彰台の中央に復活。これによりレッドブルのコンストラクターズタイトル獲得が確定している。
第16戦シンガポールGPでは苦戦を強いられた25歳のフェルスタッペンだが、今季の残りのレースでは再び圧倒的な強さを発揮していくだろうと考えている者も多い。
日本GPのフリー走行、予選、決勝の全てでトップとなり、決勝ではファステストも刻んで完全勝利を遂げたフェルスタッペンは、決勝後に鈴鹿で次のように語った。
「シンガポールの後、僕は答えを出したいと思っていたんだ。僕はそのために1週間前から取り組んでいたよ」
フェルスタッペンにとって、鈴鹿での勝利が今季の残り6戦に向けて大きな自信となったのは確かだろう。
その一方で、チームメートのセルジオ・ペレスにとって今年の鈴鹿でのレースは惨憺(さんたん)たるものとなってしまった。
■ペレスがやっていることはほとんど犯罪だと元F1ドライバー
レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、日本GP決勝を5番グリッドからスタートしたものの、ほかのマシンと複数回にわたって接触事故を起こすなどして2つの5秒ペナルティーを受け、最終的にはリタイアに終わったペレスにとって先週末の日曜日は「大きな失意の日だった」と認めている。
鈴鹿のヘアピンでペレスにぶつけられてスピンを喫し、このレースを15位で終えたハースのケビン・マグヌッセンはペレスに関して次のように語っている。
「彼のチームメート(フェルスタッペン)はもうひとつのタイトル獲得に向けてクルージングしている。そして、彼は僕らと一緒に後方で戦っているよ」
また、元F1ドライバーであり、現在はオランダGPの運営責任者を務めているヤン・ラマースは、『NOS(オランダ放送協会)』に次のように語っている。
「ペレスがあの美しいマシンでやっていることは、ほとんど犯罪的だよ」
■ペレスのF1引退は近い?
鈴鹿ではアルファタウリが2024年はダニエル・リカルドと角田裕毅のラインアップで戦うことを発表したが、ラマースは「ここで何かが起こっている」のではないかと疑いの目を向けている。
「私は、ペレスは本当に引退の準備ができていると思う。つまり、彼にとって今の状況は楽しいものだろうか?」
「我々が目にしているのは、ドライビング、やる気、鋭さ、それら全ての欠如だ。私は、レッドブルはローソンをあのシートに座らせる準備をしている可能性があると思うよ」
■レッドブルはフェルスタッペンだけでタイトルがとれる
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、ペレスは今年のコンストラクターズタイトル獲得に大きく貢献したとしている。
しかし、オランダ出身元F1ドライバーのロバート・ドーンボスはそう考えていない。
2006年にレッドブルで3レースに出走した経験を持つ41歳のドーンボスは『Ziggo Sport(ジッホ・スポルト)』に次のように語っている。
「マックスは1人で400ポイントを獲得している。それはすでにメルセデスがチームとして稼いだポイントよりも多いんだ」
実際のところ、フェルスタッペンが今の調子を維持していくことができれば、仮にペレスがいなかったとしても、遅かれ早かれレッドブルが2023年のコンストラクターズタイトルを手にすることになったのは確かだろう。
■もはやレッドブルにペレスの将来はない?
日本GP後にペレスの契約状況について再び質問されたマルコは、明らかに有効な契約があると答えている。
しかし、ドーンボスは次のように続けている。
「私は、ヘルムート・マルコはペレスとの関係を完全に終わらせていると思う」
「彼(ペレス)にはいいときもあったが、それはずいぶん前の話だ。今、彼はただ損害を発生させ、笑いものになっているだけだ」
もう1人の元F1ドライバーであるティモ・グロックも同意見だ。
かつてトヨタやヴァージンなどで走っていた41歳のグロックは、母国ドイツの『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に次のように語った。
「ペレスはもはやフェルスタッペンにはかなわない。彼にも少しずつ自分の限界が見え始めているよ」
「彼がひどく精神的に落ち込んでいるのはそのためだ。彼の経験を考えれば、彼が犯しているいくつかのミスは理解しがたいものだよ」
■ローソンがペレスやリカルドの後任候補だとマルコ
実際のところ、マルコも、ニュージーランド出身ドライバーである21歳のリアム・ローソンをペレスもしくはリカルドの後任候補として考えていることを認めている。
「ダニエルとチェコ(ペレスの愛称)はどちらも30歳を過ぎている。だから、彼らがいつまで運転したいと考えているかによってくる。そして、我々はそれに備えておかなければならないんだ」
そう語った80歳のマルコは、次のように付け加えた。
「そして、そのためにいるのがローソンだ」