レッドブル首脳のヘルムート・マルコが、自分がいつまでレッドブル・レーシングの一員であり続けるのかはわからないと認めた。
■2023年も幸先よいスタートを切ったレッドブル
2022年にはマックス・フェルスタッペンが2年連続でF1チャンピオンとなるとともに9年ぶりとなるコンストラクターズタイトルも獲得したレッドブルだが、2023年シーズンも開幕戦バーレーンGPで予選・決勝ともに1-2フィニッシュを果たすという好調な滑り出しを見せている。
オーストリア出身のマルコによれば、2023年の目標は、両タイトル防衛とともにドライバーズランキングを1位と2位で終えることだという。これが達成できれば、レッドブルとしては初の偉業となる。
■不安要素は『レッドブル社』の方向性?
現時点ではライバルたちを圧倒する強さを誇っているレッドブルだが、その好調の裏では大きな変化が起きているのも確かだ。
レッドブル・レーシングとアルファタウリのオーナーである世界的エナジー飲料メーカー『レッドブル社』の創業者ディートリッヒ・マテシッツが昨年10月に亡くなったことを受け、『レッドブル社』のマネジメント体制が大きく変わってきている。そして、それが今後のF1活動にどのような影響を及ぼすのか、現時点では不透明な部分も多くなっている。
現在の『レッドブル』は本業の“飲料事業”と、スポーツプログラムなどを含む“コーポレート事業”という2本の柱で成り立っているが、そのコーポレート事業の新CEOに就任したオリバー・ミンツラフとの関係はどうなっているのかと質問されたマルコは次のように答えた。
「我々は2回会ったよ」
「彼が我々の考えにどれだけ応えてくれるのかは、現時点ではまだわからない。レッドブル・レーシングはこれまで非常に独立した存在としてやってきていたんだ」
■今は「明確なビジョン」が見えないとマルコ
かつてマテシッツの右腕とも呼ばれていた79歳のマルコは、マテシッツがいなくなったことをさびしく思っていることを認め、次のように続けた。
「もはや、セッションやレースが終わるたびに電話で報告することはない。直接的で、個人的かつ友好的な関係は、もうそこにはないよ」
「ディディ(マテシッツの愛称)には明確なビジョンがあった。もう、それが見えないんだ」
それゆえ、マルコは自分がいつまでレッドブルにとどまることになるのかもわからないという。一般にはレッドブルの“モータースポーツアドバイザー”という肩書きで語られることもあるマルコだが、実際のところ、正式な肩書きはおろか、これまで契約書を作ったこともないのだという。
「私は自由人なんだ」
そう語ったマルコは、次のように付け加えた。
「ハッピーでなくなったら、私はいつでも辞めることができる。今後どうなっていくのか、様子を見ていくことにしよう」