2014年の11月からフェラーリのチーム代表を務めていたマウリツィオ・アリバベーネが更迭され、これまでチーフテクニカルオフィサーとしてフェラーリの技術部門を統括していたマッティア・ビノットが新たなチーム代表に就任した。
2018年シーズン後半からアリバベーネとビノットの間に確執が生じているとのうわさがささやかれていたが、その問題に関してはこれで一件落着ということになりそうだ。
そうした中、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』やイタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、ビノットがアリバベーネに代わってチーム代表となるのは前会長のセルジオ・マルキオンネが描いていたシナリオであったに違いないとの推測をしている。
だからこそ、2018年7月にマルキオンネが死去したのをきっかけにアリバベーネとビノットの確執が一気に表面化していたというわけだ。
かつてベネトンとルノーでチーム代表を務めていたフラビオ・ブリアトーレは、最終的にフェラーリがアリバベーネ更迭を決めたのは、やはり勝てるだけのポテンシャルを持つクルマを手にしながら2018年のF1タイトル獲得に失敗したことが最大の理由だったはずだとイタリアの『ADNkronos(クロノス通信)』に次のようにコメントしている。
「フェラーリにはタイトルを獲得できる条件がすべてそろっていた。それなのに、それを達成することができなかった」
「勝てなければ、変化が起こるのは避けられない。そしてマラネロ(フェラーリ)もこのことを理解しているんだ」
ブリアトーレは新たにチーム代表となるビノットに関しては2018年に「非常に速いクルマ」を製造してみせるなど「素晴らしい仕事」をやってのけたと評価する一方、フェラーリがタイトルを獲得できなかったのはアリバベーネの采配ミスによるところが大きいと次のように語った。
「彼らはハミルトン(メルセデス)にもっとプレッシャーをかけることが必要だったし、そうすれば彼のミスを誘うこともできていただろう。だが、実際のところ、フェラーリはそうしたプレッシャーを生み出すことができなかった」
1989年から1991年シーズン途中までフェラーリのチーム代表を務めていたチェーザレ・フィオリオもブリアトーレと同意見のようだ。
イタリアの『Radio 1(ラジオ・ウノ)』に、アリバベーネは「広告の世界から来た男であり、彼は十分なレース経験を持っていなかった」と語ったフィオリオは次のように続けた。
「マルキオンネが亡くなった後、ビノットはリーダーがいない状態に取り残されてしまったんだ」
「私はマッティアの成功を祈るよ。彼は自分に大きな自信を抱いているし経験も豊富だ」
スイス生まれの49歳となるビノットが2019年シーズンにどういう采配を振るうのかに大きな注目が集まることになるのは間違いない。