ウィリアムズのチーフテクニカルオフィサーを務めるパディ・ロウが、イギリスの名門プライベートF1チームの復活はまだ当分先のことになるだろうと認めた。
■苦悩の日々が続く名門ウィリアムズ
これまでに7人のF1チャンピオンを輩出し、9回のコンストラクターズチャンピオンに輝いた名門ウィリアムズだが、今季は現在ランキング最下位に位置するという絶不調に陥っている。
ロウは、これまでにも特に空力関係を改善するためにいくつかの改良パーツを投入したが、最新型フロントウイングはわずかながら効果が出ているとし、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように続けた。
「だが、調査を始めると次から次へと問題が見つかるんだ。我々は(ライバルとの)大きな差を縮めていかなくてはならない」
だが、2018年型F1マシンFW41の問題解決に取り組みながらも、同時に大きくルールが変わる来年型マシンの準備にもとりかかる必要がある。
■シーズン後半にはもっと改善したい
「いずれにせよ、解決策が見つかるまで、我々は痛みに耐えるしかない」
そう語った56歳のロウは次のように続けた。
「主たる問題は空力だが、それ以外にもある。クルマは安定性に欠けているんだ。昨年との比較においても後れをとってしまっている」
「夏休み後にはさらにいくつかの変更を加えられると期待している。だが、それでも必要とされることの半分にも満たないだろう。だが、完全に2019年型車に集中する前に、シーズン後半をもっといいものにしたいと願っているよ」
■解決できない技術問題はない
1993年から2012年までマクラーレンで活躍したロウは、2013年にエグゼクティブディレクターとしてメルセデスに移籍。そして2017年からウィリアムズの共同オーナー兼技術責任者のポストに就いている。
そのロウは、マクラーレン在籍時代の2009年にも、基本設計に失敗したF1マシンの手直しを行った経験を持っている。ロウはそのときのことに言及しながら次のように語った。
「直接的な比較はできないが、あのときのことは、全員が目的を持って作業に取り組み、落ち着き、団結して統制を保てば問題を解決できるということを示している。結局のところ、技術的な問題なんだ。そしてすべての技術的問題は解決可能だよ」
■現在の不振とドライバーは無関係
今シーズンを迎えるにあたり、ウィリアムズは2年目のF1シーズンを迎える19歳のランス・ストロールと22歳のルーキー、セルゲイ・シロトキンというドライバーラインアップで臨むことにしたが、これに関しては批判的な意見も多かった。
しかし、ロウは現在チームが抱えている問題はドライバーたちの力量によるものではないと主張している。
「どんなチームでも複数回F1チャンピオンになったドライバーを抱えられればそれにこしたことはないよ。だが、我々が抱えている問題はドライバーたちの経験不足とは何の関係もないんだ」
そう語ったロウは次のように付け加えた。
「彼らは困難な状況のもとでいい仕事をしている。もし違うドライバーたちだったとしてもクルマがよくなるわけじゃないよ」