ドイツ国内でのF1人気低下現象が現在も続いているようだ。
■バイアスロン中継に負けたF1
F1最終戦アブダビGP決勝が行われた11月29日(日)には、ドイツのテレビ局『ARD』がスキーと射撃を組み合わせたウィンタースポーツのバイアスロンを中継したが、『RTL』が生中継を行ったアブダビGPより12万人も多い395万人の視聴者がその番組にチャンネルを合わせていたことが分かった。
『RTL』のスポーツ担当責任者であるマンフレッド・ロッペは、すでに今季のF1タイトルの行方が数週間前に確定していたことがその原因だったとし、次のように語った。
「もちろん、それによって追い風を失ってしまったよ」
「2016年にはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が2人のメルセデスAMGドライバーとの差を縮めて欲しいと期待している。そうすれば視聴者もスリリングな三つどもえの戦いを楽しむことができるだろうからね」
ロッペはさらに、F1のマネジメントにかかわるものやチームたちが常に政治的な小競り合いを続けていることでF1の魅力を失わせる結果を導いていると次のように批判した。
「F1は、何度も話し合いを行うより、レースそのものに集中して欲しいと願っているよ。そうした話し合いは解決策よりも問題のほうを多く生み出しているようだからね」
■ライバルたちの追い上げを期待するメルセデス
2014年から2年にわたってドイツが誇る自動車メーカー、メルセデスのワークスチームがF1を制覇している。メルセデスにとっては、そのおひざ元であるドイツ国内でF1人気が低下していることはゆゆしき問題だ。
メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターを務めるトト・ヴォルフは、来年はもっとライバルたちが差を縮めてくることを期待するしかないと次のように語った。
「F1のためには、ライバルたちが追い上げてくることを期待するだけだ。そのほうが明らかにショーとしては面白くなるからね。私にはそれを期待するしかないよ」
今年、2年連続で自身通算3度目のF1チャンピオンとなったメルセデスAMGのルイス・ハミルトンも、ドイツの『Welt(ヴェルト)』に次のようなコメントを行っている。
「僕の心臓は戦うために鼓動しているんだ。だから、ほかのチームがこの冬の間にいい仕事をすることを本当に望んでいるよ。ファンもそれを望んでいるはずだ」
「現在のルールにおいてそれが可能かどうかは分からない。でも、フェラーリはすでにかなり追い上げてきているしね」
「来年はもっと面白くなると思っているよ」とハミルトンは付け加えた。
■最近は記憶に残るレースがないとクルサード
元F1ドライバーのデビッド・クルサードも、F1のためにはもっと緊迫したレースが行われることが必要だと考えている。
「(2015年には)10年か20年後に思い出されるようなシーンが何かあったとは思えないんだ」
『Telegraph(テレグラフ)』にそう語ったクルサードは、次のように付け加えた。
「F1は、2016年にはもっと面白くなることを期待する必要があるよ」