シーズン終盤に勢いを増したメルセデスAMGのニコ・ロズベルグは、2016年シーズンに向けて大きな自信を抱いて2015年シーズンを終えることができたようだ。
【結果】F1アブダビGP決勝の順位、タイム差、周回数、獲得ポイント
■来季への自信を強めるロズベルグ
「3連勝、そして6戦連続ポールを達成した」
ロズベルグは母国ドイツの『Bild(ビルト)』にそう語ると、次のように続けた。
「自信を持って次のシーズンに向かうことができるよ」
「新しいシルバーアロー(メルセデスAMGの2016年型車)は、基本的に現在のクルマを発展させたものだ。だから明日から2016年シーズンが始まっても大丈夫だよ」
実際のところ、2015年シーズンの序盤から中盤にかけてはチームメートのルイス・ハミルトンのパフォーマンスに大きく水をあけられていたロズベルグだが、終盤は逆にハミルトンを圧倒する速さを見せた。
■ロズベルグの終盤の勝利は無意味?
だが、ハミルトンが2015年のF1タイトルを確定させた第16戦までは強さを誇っていたのも事実だ。中には、チャンピオンの座を獲得したハミルトンのモチベーションが下がるのも当然だし、タイトルの行方が決定したあとでのロズベルグの勝利にはほとんど意味がないと考える者も少なくない。
イタリアの『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』は、次のように論じている。
「ロズベルグが連勝できた理由も推して知るべしだ。ロズベルグの最近のレースはまさに完ぺきだった。だが、完全に意味を持たないものでもあった」
ロズベルグの母国ドイツの『Die Welt(ディー・ヴェルト)』も、「すでに意味がなくなってからやっとイギリス人(ハミルトン)のチームメートがトップに立った」と書いている。
■ハミルトンは必死だったとロズベルグ
しかし、ハミルトンが意識的にアクセルを緩めていたということはなく、それどころか最近のレースでもチームに対してロズベルグとは違う戦略をとらせるよう無線で強く訴えるなど、必死にロズベルグに勝ちたいと思っていたことは間違いない事実だ。
ロズベルグは次のように語った。
「チームメートが必死になっていたのをみてうれしくなったのは認めざるを得ないね。日曜日(アブダビGP決勝)だって、彼は1回のピットストップで最後まで走り切ることを望んでいたし、そうしたところで絶対に勝つことはできないというチームのアドバイスを受け入れようともしていなかった」
■パフォーマンス逆転の理由を分析するとメルセデスAMG
メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターを務めるトト・ヴォルフは、終盤にきてどうしてドライバーたちのパフォーマンスに逆転現象が起きたのかということについて今後慎重に分析をすることになるとし、次のように語った。
「最近多くの検討が行われたよ。ニコが調子をあげたのか、クルマの開発がニコの方に有利に働いたのか、それともルイスが無意識のうちに少し気を抜いていたのではないか、というようなことについてね」
「まだその答えは出ていないんだ」
そう述べたヴォルフは、次のように付け加えた。
「今後、2週間ほどのうちに監査を行い、最近の2、3レースにおいて何が起こっていたのかを分析しないとならないよ」