フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)が、フェラーリが昨シーズン限りで自分をクビにしてくれていたことが今となっては「うれしい」と語った。
ブラジル人ドライバーのマッサは、イタリアの伝統チームであるフェラーリに2006年から2013年まで在籍し、その間ミハエル・シューマッハ、キミ・ライコネン、フェルナンド・アロンソという3人の元F1チャンピオンのチームメートとして戦い続けていた。
だが、マッサの8年に及んだフェラーリドライバーとしての務めも、チームが2014年のアロンソのチームメートとして2007年にフェラーリでF1チャンピオンに輝いたライコネンと契約を結んだことでお役御免となっていた。
そのマッサは最近、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、自分の後任であるライコネンはアロンソほどの「優れたドライバーではないだろう」と語っていた。
マッサは、ライコネンがF1チャンピオンとなった2007年シーズンについて、自分のほうがイタリアGP(第13戦)を迎えるまではリードしていたものの、「運の悪いことに、モンツァ(イタリアGP)の結果でどちらがナンバー1ドライバーとして処遇されることになるのかを決めるというチーム内での合意があったんだ。そこで僕のクルマにはトラブルが発生してしまったんだ」と当時の経緯を語ると、さらに次のように続けた。
「2008年には僕のほうが彼よりもいい成績だった。2009年も、ハンガリーGP(第10戦)で事故に遭うまでは、僕のほうがリードしていたんだ。それなのに、キミはF1チャンピオンで、僕はそうではない」
フェラーリで栄光をつかみ損ねたマッサだが、昨シーズン限りでフェラーリのシートを失い、今季ウィリアムズへと移籍したことをまったく悔いてはいないと『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に次のように語っている。
「間違いなく正しい移籍だったよ」
「今にして思えば、フェラーリが僕を残したがらなかったことさえうれしく思うよ。そのおかげでウィリアムズに来るチャンスができたわけだからね」
「僕はすごく落ち着いているし、やる気にも満ちている。そしてチームも僕に敬意を払ってくれる。環境が変わるのも、時にはいいものだね」
「僕も歳を取ってきているけれど、また若返ったような気分だよ。戦う準備も、懸命に働く準備も整っている。何も後悔なんてないよ」
さらに、マッサは非常に大きな重圧を背負うことになる赤いユニフォームが着られなくなったことをさびしく思ってなどいないと次のように続けた。
「もちろんそんなことはないさ! フェラーリでの重圧はとてつもなかった。勝てなかったときには、大きな負債が両肩にのしかかってくるような気分だったよ」
「それ(重圧)を前向きなエネルギーに変えるようにしていた。でも絶えず緊張感に包まれていたよ」
そう語ったマッサは、次のように締めくくった。
「ウィリアムズでは、ただレースだけのことを考えればいいんだ。そのほうがいいよ」