NEXT...F1開催スケジュール

F1がアンドレッティ・キャデラックの新規参戦を拒めば法に抵触する可能性も?

2023年09月08日(金)17:48 pm

F1は、欧州連合の政策執行機関である欧州委員会が定めた法律により、アンドレッティ・キャデラックの新規参戦を認めるよう強制されることになるかもしれない。

■アンドレッティの新規参戦を阻止したいF1

最近、元F1ドライバーでもあるマイケル・アンドレッティ率いるアンドレッティ・オートスポーツが「アンドレッティ・グローバル」という新たな名称に変わったことが明らかとなった。

これは、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が、2025年からのF1参戦を目指すアンドレッティ・キャデラックの新規参戦申請を事実上承認したことを示すものだと考えられている。

だが、アンドレッティ・キャデラックのF1参入に関しては、F1オーナーであるアメリカのリバティ・メディアを始め、既存のF1チームの多くが反対する意向を示している。

■この問題に欧州委員会が介入する可能性も?

しかし、このほどドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が報じたところによれば、リバティ・メディアはアンドレッティ・キャデラックのF1新規参戦を「簡単に拒否することはできないかもしれない」という。

それは、欧州委員会がアンドレッティ・キャデラックのF1新規参戦を認めるよう強制力を持ってF1に働きかける可能性があるためだ。

かつて2000年には、欧州委員会が欧州競争法違反の疑いでF1を調査したという経緯がある。その当時問題となったのは主にF1放映権の販売方法に関するものだった

欧州委員会は当時、F1における公正さと自由競争を確保する必要があると判断し、新たな法律を設けている。そして、それにより、リバティ・メディアが安全性以外の理由でアンドレッティ・キャデラックの参加を阻止することはできなくなるかもしれないと考えられている。

アンドレッティ・キャデラックのF1新規参戦に反対する者たちの中には、2025年までの準備期間が限られていることを考えると、新参アメリカンチームが既存チームたちとレースをするのに十分な競争力を持てない可能性があると指摘する声もあるようだ。

実際のところ、アンドレッティ・キャデラックは、フェラーリの大きな協力を得て2016年にF1参戦を開始したハースの例に倣って、テクニカルパートナーとなるルノーとアルピーヌの協力を得て最初のF1マシンを製造する必要があるとの噂もささやかれている。

いずれにせよ、リバティ・メディアがアンドレッティ・キャデラックのF1新規参戦にノーと言うためには、彼らが参戦することによって“安全上の問題”が発生する可能性を立証しなくてはならなくなるだろうと考えられている。

これに関して、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は次のように報じている。

「もし、FIAがそれをできなければ、F1にとってもそれを証明するのは困難だろう」

■新規参戦保証金の大増額を目指すF1

F1の商業権、運営方法、利益分配など関しては、現在各F1チーム、FIA、リバティ・メディアのF1運営組織であるフォーミュラ・ワン・グループの3者間で結ばれるコンコルド協定に細かく規定されている。

そして、現在のコンコルド協定の期限は2025年末までとなっているものの、グレッグ・マフェイがCEOを務めるリバティ・メディアは新たなコンコルド協定の締結を早めようと躍起になっていると伝えられている。

それは、もしもアンドレッティ・キャデラックのF1新規参戦が正式に承認される前に新たなコンコルド協定が合意を見れば、リバティ・メディアは現在2億ドル(現在のレートで約300億円)と定められているF1新規参戦保証金を一気に6億ドル(約900億円)という途方もない金額に引き上げることができると考えられているためだ。

「そうなれば、たとえ自動車会社であろうとも、新規参戦を断念せざるを得なくなるだろう」と『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は付け加えている。

しかし、たとえリバティ・メディアがアンドレッティ・キャデラックを締め出すことを目的とするコンコルド協定を結んだとしても、それは欧州委員会が定めた規則に抵触する可能性があるようだ。

『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、その規則には、リバティ・メディアはその支配的地位を乱用してF1内の公正な競争を妨げてはならないことが明記されているという。

■間もなくFIAがアンドレッティにゴーサイン?

こうした中、伝えられるところによれば、FIAは9月後半にも、アンドレッティ・キャデラックのF1新規参戦申請に対する姿勢を明らかにすることになるようだ。

今後この問題がどのように進展していくのか、F1ファンとしてもしばらく静観するしかなさそうだ。

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック