今年の10月に初開催が予定されているF1ロシアGP(10月12日決勝)だが、F1の今季のレースカレンダー上では、まだ暫定であることを意味する印が施されたままとなっている。そして、ロシアが武力介入するといった情勢に発展したクリミア危機問題が尾を引く中、依然としてロシアでのF1GP開催を疑問視する声も多い。
以前、クリミア問題が深刻さを増す中、かつて3度F1チャンピオンに輝いた伝説的元F1ドライバーであり、現在はメルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは、F1はソチで予定されているロシアGPをボイコットすべきだとの意見に反論を行っていた。
だが、4月にはザウバーの「救済契約」の中心的人物としてF1キャリアをスタートさせようとしていたロシア人ドライバーのセルゲイ・シロトキンの将来に突然暗雲が立ち込めた。シロトキンのスポンサーであるSMP銀行がアメリカとヨーロッパによる制裁対象となったからだ。
シロトキンの支援者であるボリス・ローテンベルグはロシア大統領であるウラジーミル・プーチンと密接な関係にあると言われているが、この制裁措置によりSMP銀行の口座が凍結されたことで、シロトキンばかりでなく、ほかの多くのロシア人アスリートが影響を受けていると報じられている。
そして、モスクワとウクライナとの戦争の可能性が高まってきたことを受け、このほどイギリスの著名な政治家が、10月のロシアGP開催の実現性についての疑問を投げかけた。
英議会下院外交委員会の議長を務めるリチャード・オッタウェイは、『Times(タイムズ)』紙に対し、クリミア危機によりロシアGPの開催については「非常に非現実的だ」とし、次のように語った。
「もし今後さらに厳しい制裁措置が取られることになれば、F1がレースを開催することは不可能になるだろう。なぜならば資金の流れが制限されてしまうからだ」
『Times(タイムズ)』のケビン・イーソン記者も、F1チームたちはバーレーンに関する政治的論争の次に起こったロシアGP問題に関して「不安を抱える」ことになるだろうと書いた。
イーサン記者は、現在F1に資金をもたらしている主要スポンサーたちも、ロシアの姿勢に関して「距離を置くことを望むかもしれない」としている。