小規模チームにさえF1チームにまん延しつつある財政難を悪化させた責任がある、と今年1月にロータスを離脱した同チームの元CEOであるパトリック・ルイスが語った。
ルイスは、ロータスではキミ・ライコネン(現フェラーリ)の後任としてニコ・ヒュルケンベルグ(現フォース・インディア)と契約することを望んでいたものの、純粋に財政的理由によりそれが実現できなかったことを認め、ドイツ語サイトである『motorsport-magazin.com』に次のように語った。
「F1における(財政的)状況は明らかだし、もし何らかの対応をしなければ、このスポーツは最終的には参加者の減少によって衰退してしまうだろう」
ルイスは、小規模で苦境に立たされているチームでさえ、大金を使って財政的に健全であるとの印象を持たせようとしているが、「それは真実ではない」と語った。
ルイスは一例として、小規模チームも5つ星ホテルを利用していることをあげ、それは「ビジネスの観点からはまったくばかげたことだ」と指摘。さらに、その同じチームでは給与も高騰しつつあると次のように付け加えた。
「我々の戦略上、非常に重要だった人物は、それまで年収9、10万ポンド(約1,500万円から1,700万円)程度だったが、我々が18万ポンド(約3,000万円)で引き抜きをかけた」
通常であれば年収3万ポンド台(約500万円台)のファクトリー内の従業員についてもロータスは、より高額のサラリーで「チーム別ランキングでは、我々よりもはるかに下のチームから」引き抜いてきているという。
こうしたチームではコストが上昇していると不満を口にしているが、ルイスに言わせれば、「それは自分たちが招いたことだ」という。
「私からしてみれば、それは経済的な自殺行為だ」とルイスは付け加えた。
ルイスは、コスト上昇が第一候補であったヒュルケンベルグではなく、パストール・マルドナード(当時ウィリアムズ)を選択することにつながったと明かした。そのマルドナードはスポンサーであるPDVSA(ベネズエラ国営石油会社)を通じて巨額のスポンサーマネーをロータスに持ち込むことになる。
「どこかの時点で、その決断をし、それを受け入れなくてはならない。チームとしては予算の帳尻を合わせなくてはならないからね」
「私から見れば、ヒュルケンベルグは素晴らしいドライバーだ。今のF1でも数少ない才能の持ち主だよ」
「私は、我々が妥協したと言っているわけではない。だが、我々としてはドライバー(マルドナード)の育成にもっと時間をかけようと決断したんだ。彼は、2012年にうちに来たころのロマン・グロージャンと大体同じレベルだからね」
「彼(グロージャン)は批判を受けたし、残留させたことで我々は全くどうかしていると言われたものだ。そして、今では同じ人たちが、彼のことを素晴らしいドライバーだと言っているよ」