フェリペ・マッサ(フェラーリ)はなぜ、チームメートのフェルナンド・アロンソに比べてあれほど苦しんだのか理解できない。そのようにセバスチャン・ベッテル(レッドブル)が話している。
フェラーリとマッサが2013年の契約を交わしていないのは事実であることから、ベッテルはフェラーリの現状についていろいろと考えるところがあるようだ。
ブラジルの日刊紙『Folha de S.Paulo(フォリャ・ジ・サンパウロ)』とのインタビューでベッテルは、2010年から2年に及ぶマッサの不振について次のように語っている。
「僕には分からないな。フェリペ(マッサ)を人としてすごく好きだし、ドライバーとしてもすごく尊敬している」
「フェリペがどれほどの勝利を収めたか、みんな忘れてしまったようだね。2008年は、ルイス(ハミルトン:マクラーレン)とわずか一点差でタイトルに手が届かなかったんだよ」
マッサは2009年、ハンガリーGP予選で事故に遭い、あやうく命を落としかけた。本人は、ハミルトンとタイトルを争った当時も今も身体的に何ら変わらないといっている。
しかし2008年、マッサはチームメートで前年の王者キミ・ライコネン(現ロータス)を完全に上回っていたのだ。
さらにその2年前には、同じくチームメートだったミハエル・シューマッハ(現メルセデスAMG)と互角以上の戦いを繰り広げていた。その結果シューマッハは、2006年をもって輝かしい経歴の第一幕を閉じたのだ。
ベッテルはさらに続ける。「フェルナンド(アロンソ)には失礼ながら、フェリペはフェルナンドと同じか、ときにはフェルナンドを上回る速さを持っていると思う。ほんとうに分からないよ。なぜ、たまにふたりの差があれだけ広がってしまうのか」
「過去にフェリペは、マイケル(シューマッハ)やキミ(ライコネン)といった優秀なドライバーを相手に戦い、つねに速さを見せつけてきた。だから理解できないんだ。でも僕はフェラーリのドライバーじゃないし、チームの内情も知らない」
「それにしても人は忘れるのが早いよね。2008年には世界最高のドライバーに数えられていたのが、今じゃ違うんだから」
「もし2008年ハンガリーGPでエンジンが故障しなければ、世界タイトルはフェリペのものだった。“もし仮に”が禁物なのは分かっている。それでも、“もし”と思ってしまうんだ」と語るベッテルだった。