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角田裕毅への無線指示はリカルドの提案?攻めている最中に順位を譲らされたが…RBに一体何があった?

2024年03月03日(日)2:15 am

F1開幕戦バーレーンGPで優勝したレッドブルF1と同じホンダ・レーシング製パワーユニットを搭載している新生RBは、ダニエル・リカルドが13番手、角田裕毅が14番手だったが、57周のレースの後半、RBの戦略にはやや疑問が残った。

●【2024F1第1戦バーレーンGP】決勝レースタイム、タイム差、周回数

35周目、角田裕毅が2回目のピットストップでハードから新品ハードへ交換した。残りは22周だ。

36周目、リカルドが2回目のピットストップでハードから新品ソフトへ交換した。

リカルドは残り21周を新品ソフトで走りきる戦略で、角田裕毅とは違う戦略だ。

タイヤの状況を整理すると、リカルドはスタートで中古ソフトを使っていて、新品ソフト1セット、新品ミディアム1セット、新品ハード2セットを残していた。一方の角田裕毅はスタートで新品ソフトを使っていて、スタート時点で、中古ソフト、新品ミディアム1セット、新品ハード2セットを残していた。

50周目、12番手を走行するケビン・マグヌッセン(ハース)のDRS圏内に入って、オーバーテイクのタイミングを狙っていた13番手の角田裕毅だったが、ベテランのマグヌッセンも一瞬の隙も与えない。

51周目、角田裕毅との差を縮めてDRS圏内に入ってきたリカルドは「チャンスがあるなら交換を試してみたらどう?」とチームに提案した。新品ソフトを履いてから15周目だ。

52周目、提案されたチームはリカルドにこう返した。「この周に順位の入れ替えを試してみる」

そしてその後チームは、角田裕毅に「順位を入れ替えてくれ」と指示を出した。チームとしてはタイム差を縮めてきたリカルドの方が速くてマグヌッセンを抜くチャンスが大きいと判断したのかもしれないが、残り周回数を考えるとポイント獲得は難しいポジションだ。

やっとDRS圏内に入ってマグヌッセン攻略に集中していた角田裕毅は、その指示を突然言われて「冗談でしょ?今さら?」と興奮気味に答えた。

リカルドはチームの決定事項に対して「わかった、僕は何も言う必要はない」と答えた。リカルドはチームに提案して、チームが判断したことに従ったという姿勢だ。

F1公式でも「チームは角田にポジションを交換するよう指示したが、彼がマグヌッセンのすぐ後ろにいて懸命に追いかけていることを考えると、彼からすれば信じられないだろうし、応じなくても不思議ではない」と角田を擁護し、「RBの両者の親密な関係は今夜で終わるかもしれない」と関係悪化を危惧している。

残り5周となった53周目、チームプレイに徹した角田裕毅は順位に入れ替えに応じた。

しかし、タイミングが悪いことに、角田裕毅のすぐ後ろにはトップのフェルスタッペンが周回遅れにしようとしていた。後ろから速いマシンが近づいていることを示すブルーフラッグを出された角田裕毅、リカルドは道を譲って周回遅れになる。その際、12番手のマグヌッセンとリカルドの差が一気に2秒に広がった。

54周目、その広がった差を見た角田裕毅は「ありがとう。感謝しているよ」とチームに対して皮肉たっぷりに無線で伝えた。

55周目、フェルスタッペンがマグヌッセンを周回遅れにして、ここでようやくマグヌッセンとリカルドはDRS圏内に戻った。残り3周だ。しかし、ソフトタイヤのリカルドもなかなか抜けない。それに対して、角田裕毅とチームは以下のようなやり取りをした。
角田裕毅:「彼(リカルド)はもっとスピードアップしないと」
チーム:「よく聞こえるよユウキ、自分のベストを尽くそう」
角田裕毅:「彼はどの場所でも速くないよ!」
チーム:「僕たちは見てるよ」

角田裕毅としては、リカルドに順位を譲ったんだから、マグヌッセンを抜けないなら順位を戻してくれ、という気持ちだろう。事実、角田裕毅のペースは落ちる事なく、リカルドのDRS圏内にピッタリついて走行していた。リカルドのソフトタイヤはそろそろデグラデーションが厳しくなっているころで、ハードタイヤの方が速くなっている頃だ。

角田裕毅は、マグヌッセンを抜けないリカルドの真後ろにピッタリついて走っている。

56周目にリカルドがマグヌッセンに対して仕掛けるようなアクションは見せるものの、オーバーテイクするほど十分に近づけていない。結局リカルドは最後までマグヌッセンを抜くことはできず、角田裕毅に順位を戻すこともなくチェッカーフラッグを受けている。

このやり取りからわかるのは、ベテランのリカルドはチームを動かす術を知っていて、角田裕毅はそうしたことを学んでいる最中なのだろうということだ。チームプレイは大事だが、両者とも今年が正念場だ。もし今後チームから同じ指示をされたら、冷静になって「チームのために順位を入れ替えてもいいけど、もし抜けなかったら元に戻してくれ」という条件を出した方がいいかもしれない。

もちろんチームが適切な戦略をドライバーに指示するのがベストだが・・・ライバルたちも優れた戦略を選択してくる中で、一夜にして戦略を好転させるのは簡単ではなさそうだ。

来週の第2戦サウジアラビアGPに向けて、チーム内で戦略について話し合う必要があるだろう。

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