2024年2月14日、メルセデスF1が2024年の新車『W15』を発表後、雨のシルバーストーン・サーキットで「2つ目のフロントウィング」を装着してシェイクダウンを実施した。
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■実は2種類発表していた
今回のメルセデスF1は、新車発表会で『W15』のフロントウィングを実は2種類発表していた。
色がブラックかつ暗くて分かりにくいが、車両単体で写っている『W15』と、人物と一緒に写っている『W15』ではフロントウィングの形状は違っていた。
特に印象的なのは、フロントウィング最上部にある4枚目のウィングは、“たった1本のカーボンワイヤー”でノーズコーンに設置していることだ。これはレギュレーションの範囲内だと考えられている。
この3枚の写真は、最下段は2023年イギリスGP、中央は2024年の新車発表、最上段は2024年の新車初走行(シェイクダウン)画像の比較で、いずれも走行画像は同じシルバーストーン・サーキット(イギリスGP開催地)だ。
各チームが様々なコース特性に対応させた形状を複数用意しているのは通常のことだが、メルセデスF1は雨のシルバーストーン・サーキットで、まずはこの特徴的なフロントウィングをドライバーたちに“テイスティング”してもらいたかったのだろう。
■そもそもフロントウィングの狙いとは?
フロントウィングは、ダウンフォースを生み出しコーナーリングを速くする効果を持っている。一方で、その前方投影面積が大きければ空気抵抗になってストレートスピードが落ちてしまい、さらに乱気流を発生させてしまう。
その乱気流は、車体中央から後方への空気の流れが計算しにくくなる一因となり、結果として全体のセッティングを考慮すると前後バランスが取りにくくなってしまうという副作用に繋がってしまう。
乱気流の発生をできるだけ抑えて、前から後ろへキレイな気流のままボディ上部と底部のフロアへ流し、より多くのダウンフォースを生み出したい。
そのため、フロントウィングが大きければ良いという単純なものではなく、ダウンフォースと空気抵抗のちょうど良いバランスを見つけて1周の速さを引き出さなければならない。
シェイクダウンで使用した『W15』の特徴的なフロントウィングからはそんな意図を感じられるが、それが効果を発揮するか否かはまた別の話だ。
■ライバルに手の内を隠したい
近年の新車発表会のトレンドは、旧型車に新しいリバリー(カラーリング)だけを施して発表して、ライバルに新車の詳細を研究される時間を少しでも遅らせてアドバンテージを築こうとしている。
また、新しい形状を発表しても、重要な“隠し球”は見せなかったり、色調を暗くして判別しにくくしているのが常だ。