先週末にモンツァ・サーキットで行われた2023年F1第15戦イタリアGPではフェラーリがかなり高いパフォーマンスを発揮してみせた。
だが、2005年と2006年のF1チャンピオンであるフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)と、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、その勢いはもうあまり続かないだろうと考えているようだ。
■地元モンツァで今季最大のパフォーマンスを見せたフェラーリ
フェラーリのホームレースであったイタリアGPでは、スペイン出身ドライバーのカルロス・サインツが今季初のポールポジションを獲得。そして、現在ランキングトップを独走しているレッドブルのマックス・フェルスタッペンを挟んでモナコ人ドライバーであるシャルル・ルクレールが3番手につけた。
フェラーリが2台とも予選トップ3に入ったのは、今季は第10戦オーストリアGPに次いで2回目のことだ。
また、決勝でもポールからスタートした29歳のサインツがかつてトロロッソでチームメートだった25歳のフェルスタッペンを14周にわたって抑え込むことに成功。15周目にはオーバーテイクを許したものの、2023年シーズンここまでのところ14周のラップリードというのはレッドブルのフェルスタッペンとセルジオ・ペレスに次ぐ3番目の記録となる。
レース終盤には2台のフェラーリが3位表彰台を争ってバトルを展開するという光景も見られたが、フェラーリがレースでトップ4に2台とも入ったのも今季初のことだ。
つまり、モンツァでのフェラーリは、今シーズンここまでのレースの中で最もレッドブルに近づくパフォーマンスを示したと言えるだろう。
■そのツケがシーズン終盤に回ってくる?
だが、2010年から2014年までの5年間をフェラーリで過ごした経験を持つ42歳のアロンソは、モンツァでのフェラーリのパフォーマンスについて次のように語った。
「何年もの間、彼らはそのレースのために新しいエンジンを投入したり、特別なものを用意したりしてきているんだ。だけど、F1選手権は22レースだからね」
そして、80歳のマルコも、フェラーリはホームレースであるモンツァでのレースのために信頼性のリスクを負ってパフォーマンスを上げてきたのだと考えている。
「フェラーリがモンツァに向けてあらゆる手段を講じてくることは我々もわかっていたよ」
母国オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』にそう語ったマルコは、次のように続けた。
「彼らは最大限のことをやって、ギリギリまで馬力を絞り出したんだ」
「だが、我々はそうすることによってエンジンが後で苦しくなることもわかっていた」
■モンツァでも成長を示したフェルスタッペン
しかし、マルコは、モンツァでも特にフェラーリに脅威を感じることはなかったものの、そのパフォーマンスは想定以上だったとも認めている。
「彼らとは違い、我々にはあらゆる状況に対応できるマシンがある。だから、接戦になるであろうことはわかっていたし、怖じ気づくようなこともなかったよ」
「しかし、それでも最初のうちはフェラーリについていけなかったことに驚いたよ。マックスはいつもと違うドライビングをしなくてはならなかったし、戦略も変えなくてはならなかった。そして、とにかく我慢することが必要だったんだ」
そう語ったマルコは、次のように付け加えた。
「4年か5年前のマックスには、そんな忍耐力はなかっただろうね」