伝えられるところによれば、フェラーリが2週間前のF1スペインGPにおいて非常に厳しい戦いを強いられたシャルル・ルクレールのマシンを調査したところ、大きな問題はないことが判明したという。
■スペインで大苦戦を強いられたルクレール
バルセロナで行われたスペインGPに改良マシンを持ち込んだフェラーリだったが、モナコ出身ドライバーであるルクレールは予選19番手という予想もできなかった不振に陥り、決勝でも11番手にまでばん回するのがやっとだった。
これを受け、ルクレールがバルセロナで使ったマシンには根本的な欠陥があるのではないかとの疑いが生じ、フェラーリはそのマシンの検証を行っていた。
だが、フェラーリのチーフエンジニアを務めるジョック・クリアによれば、ルクレールとカルロス・サインツがスペインで使用したマシンには何も異常はなく、実際のところそれまでのマシンよりも改善されていたのだという。
■バルセロナでコンマ2秒改善できたのはポジティブ
イギリス出身エンジニアであるクリアは、スペインの『Marca(マルカ)』に次のように語っている。
「あのパッケージは、言われていたようなコンマ0.5秒あるいはコンマ7秒の差を生むことはなかった。最大でもコンマ2秒か3秒ほどだよ」
「良い面は、バルセロナでコンマ2秒縮められたことだ。あそこはクルマの弱点がはっきりと露呈するサーキットだからね。バルセロナに行けば隠すことはできないんだ」
「つまり、それは本当にポジティブなことなんだ。非常に厳しいサーキットのひとつで、アップグレードの作業をやり遂げたんだからね」
実際のところ、ルクレールは非常に苦戦したものの、チームメートのサインツはスペインで予選2番手、決勝では5位という成績を残している。
■“アキレス腱”だったハンドリングが改善
それゆえ、ルクレールのマシンに関する調査からは何の結果も得られなかったと報じられているものの、フェラーリのアップグレードがスペインにおいて実際に効果を示したのは明らかだとクリアは主張している。
「間違いなく、イエスだよ」
そう語ったクリアは、フェラーリF1マシンが抱えていたハンドリングの問題に改善が見られたことに言及しながら、「それが我々のアキレス腱だったんだ」と付け加えた。
■今ではマシンを理解できているとクリア
しかし、クリアによれば、本当に良いニュースは、フェラーリ2023年型F1マシンが抱えている問題の原因について、より良く理解できるようになったことだという。
「この予算では、何かを試してみる余裕はない。そして今では、それがどう機能しているのかを理解できている」
そう語った59歳のクリアは、次のように付け加えた。
「我々はこのパッケージがなぜ機能するのかを理解しているし、我々にとって新境地を開くことができたと信じているよ」
噂によれば、フェラーリは、ほかの多くのチームと同様に、シルバーストンで行われる第11戦イギリスGP(7月9日決勝)に、新たな改良マシンを持ち込む可能性があるという。