レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)によると、チームは先週末のF1スペインGP決勝においてマックス・フェルスタッペンにペースを落とすよう指示を出していたようだ。
■フェルスタッペンの“完全優勝”で終わったスペインGP
3年連続でのF1ドライバーズタイトル獲得を狙うオランダ出身ドライバーのフェルスタッペンだが、先週末のレースの舞台となったバルセロナ・カタルーニャ・サーキットでは3つのフリー走行、予選、決勝の全てでトップとなるとともに、決勝ではファステストラップも記録し、まさに“完全優勝”を達成している。
■フェルスタッペンのペースを落とさせたかったレッドブル
だが、マルコは母国オーストリアの放送局『ORF』に対し、本当はレース終盤にフェルスタッペンにファステストラップを狙わせたくはなかったのだと明かしている。
「彼は追加点(ファステストラップポイント)を狙いに行くと主張したが、彼のタイヤはもはやチェコ(チームメートのセルジオ・ペレス)のものほどよくなかったし、我々は彼がそうすることを望んでいなかったんだ」
「こういうことを彼にわからせるのは無理だがね」
笑いながらそう語った80歳のマルコだが、レッドブルはフェルスタッペンがトラックリミット違反(コース外にはみ出して走行すること)を犯したことでFIA(国際自動車連盟)のレーススチュワードから警告を受けていたこともあり、本当にリスクを負いたくはなかったのだと次のように付け加えている。
「彼は3回警告を受けたが、あのような状況で危険を冒すことは本当に避けたかったんだ。だが、彼を怒るわけにはいかないよ」
■ペレスのタイトル挑戦はもはや絶望的?
フェルスタッペンが無敵ぶりを十二分に発揮したスペインGPだったが、チームメートのペレスにとってはまたも苦しいレースになってしまった。
前戦モナコGPでは予選Q1でクラッシュしたことにより決勝をノーポイントで終えてしまっていたメキシコ出身の33歳となるペレスだが、先週末のバルセロナにおいても予選Q3進出を逃し、決勝を11番グリッドからスタート。
そこからなんとか4位にまでばん回したものの、ランキングトップのフェルスタッペンとの差は53ポイントにまで広がってしまった。
かつてレッドブルに所属していたことがある元F1ドライバーのロバート・ドーンボスは、母国オランダの『Ziggo Sport(ジッホ・スポルト)』に次のように語っている。
「モナコに続き、このレースはペレスにとってまさに命取りとなってしまったよ」。