マクラーレンは、最新型風洞施設によって自分たちのF1マシンを大幅に改善することができると期待している。
■空力的問題を抱えるマクラーレンの2023年型マシン
ウォーキングに本拠を置くイギリスの名門F1チームであるマクラーレンだが、2023年シーズンはここまで非常に厳しい戦いを強いられている。
マクラーレン・レーシングのCEOを務めるザック・ブラウンは、2023年型マクラーレンF1マシンが空力的な問題を抱えていることを認め、次のように語っている。
「我々は空気抵抗を発生させずにダウンフォースを生み出す必要がある」
マクラーレンは数年前から風洞の状況を重要な問題として認識しており、現在はテスト用の新しいパーツをトラックに積み込んでドイツのケルンにあるトヨタの風洞施設まで往復させている状況だ。
しかし、トヨタの風洞施設もすでに時代遅れのものであり、マクラーレンはマシンがコーナーを曲がる際の空力シミュレーションに長けたライバルたちに遅れをとっていると考えられている。
■新風洞設備が問題解決の助けに
ザウバーへ移籍したアンドレアス・ザイドルに代わって今季からマクラーレンのチーム代表を務めているアンドレア・ステラは、最近のマクラーレンは基本的に同じ弱点を持っていることを認めている。
「それは、我々が開発中に用いている手法と関係があるのかもしれない」
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語った52歳のステラは次のように続けた。
「だが、我々の新しい風洞では、それはもうすぐ使えるようになるが、壁の調整ができるようになるため、状態をより的確に示すデータを収集することができるはずなんだ」
「数か月のうちには、我々がもっと賢くなれると期待しているよ。最初の走行の結果と過去数年間のデータを比較できるようになるからね」
■今週末のイモラでは大型アップデートはなし
伝えられるところによれば、マクラーレンの新風洞設備が本格稼働できるようになるのは来月(6月)のようだ。そして、それが意味するものは、マクラーレンは今週末に行われる第6戦エミリア・ロマーニャGP(21日決勝)の舞台となるイモラに大きなアップデートを持ち込むことはないということだ。
「イモラで投入されるものは、1、2か月前に開発されたものなんだ」
そう認めたステラは、次のように続けた。
「いくつか小さなものは取り入れているよ」
「だが、またコンスタントにポイントを獲得できるようになるには、それでは不十分なんだ」
■改良マシン投入はカナダとイギリスで
イタリア出身エンジニアであるステラによれば、マクラーレンでは、新たな風洞施設を用いて大きな改良を加えたマシンを、第9戦カナダGP(6月18日決勝)と第11戦イギリスGP(7月9日決勝)の2レースに分けて投入する計画をしているようだ。
「2つのレースに分けて投入することになるだろう。それはカナダとイギリスだ」
ステラはそう語ると、その理由を次のように説明している。
「その間に行われるオーストリアは含めていない。なぜなら、そこはスプリントが行われる週末だからね。パッケージのサイズから、それには自信が持てないんだ」