最近、イタリアのファエンツァに本拠地を置くアルファタウリが売却されるのではないかとの噂が世界中を駆け巡っていたが、アルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストが1日(水)に公式声明を出し、この噂を完全否定した。
■レッドブルは今後もアルファタウリ支援を続ける
その声明の中でトストは、世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブル社の創業者であったディートリッヒ・マテシッツの死後、同社のスポーツ部門責任者に就任したオリバー・ミンツラフとミーティングを行ったことを明らかにし、次のように述べている。
「私はオリバー・ミンツラフと非常にいい話し合いを行い、彼は株主がアルファタウリを売却しないこと、そしてレッドブルが今後もこのチームを支援し続けることを確認した」
「これらの噂はすべて根拠がないものだ。そして、チームは昨年以上のパフォーマンスを発揮するために、シーズン開幕に向けて集中しなければならない」
■これからも若手ドライバーを育てていくとトスト
また、オーストリア出身の67歳となったトストは、ドイツの『Sport1』に対し、2023年シーズンの開幕を目前にしたところでこうした噂がささやかれたことで、チーム全体が不安に陥ってしまったのは事実だと次のように語っている。
「ここ数日、私は噂のせいで職を危ぶむ従業員を安心させるために非常に忙しくしていたよ」
「それは不要で不愉快なことだったよ」
「我々がもっとよくならなければならないのは間違いない。だが、パフォーマンスは噂とは無関係だ。我々はこれからもずっとレッドブルに属していく」
「そして、我々の側の哲学も変わっていない。今後も若いドライバーを育てることを続けていくよ」
■アルファタウリ売却の噂はマルコのインタビューがきっかけ?
レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、レッドブルのセカンドチームであるアルファタウリ売却の噂が広まるきっかけとなったのは1人のジャーナリストとのインタビューだったと考えている。
「あるジャーナリストが私のところに来て、どの新しいメーカーや投資家がF1に興味を持つ可能性があるかという話をしただけだ」
トストと同じオーストリア出身である79歳のマルコはそう語ると、次のように付け加えた。
「その中で、私はアルファタウリが売りに出されるとは決して言っておらず、どうすれば我々のセカンドチームの効率を高められるかという話をしただけだ。コンストラクターズ選手権9位では誰も満足できないことは周知の事実だからね」
■レッドブルのセカンドチームは成績以上の価値を生んでいる
トストと親しいことで知られる元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、若手ドライバー育成というアルファタウリの役割からすれば、成績だけでアルファタウリの価値を判断するのは間違いだと考えているようだ。
「例えば、セバスチャン・ベッテル、マックス・フェルスタッペン、ダニエル・リカルドは皆、フランツ・トストに育てられたんだ」
「そして、今日のドライバーたちに目を向ければ、カルロス・サインツ、マックス、ピエール・ガスリー、アレクサンダー・アルボン、角田裕毅と、5人のドライバーがレッドブルのジュニアスクール出身なんだ。これは全体の4分の1だよ」
かつて、ジョーダン、ウィリアムズ、トヨタで活躍し、F1通算6勝の記録を持つラルフ・シューマッハはそう語ると、次のように付け加えた。
「だから、チームの成功は、前年のF1選手権の順位だけでは語れないんだ」。
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