先週バーレーンで行われたF1公式プレシーズンテスト後に、レッドブル首脳のヘルムート・マルコがメルセデスの2023年型F1マシンはまだ“ポーポイズ現象”の影響を受けているようだと示唆していた。
“バウンシング”あるいは“ポーパシング”などとも呼ばれる“ポーポイズ現象”とは、グラウンドエフェクトマシンが高速で走行する際に上下に大きく振動する現象のことだ。
シャシー自体がダウンフォースを発生させる“グラウンドエフェクト効果”を持つものに変わった2022年のF1では、2014年から2021年までコンストラクターズ選手権8連覇を達成したメルセデスが苦戦を強いられたが、その最大の問題はポーポイズ現象を克服できなかったことにあったと考えられている。
■もはやポーポイズ現象はないとトト・ヴォルフ
だが、メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、今週末の開幕戦バーレーンGP(5日決勝)を前に、母国オーストリアの『Osterreich(エステルライヒ)』に次のように語った。
「我々のマシンは跳ねないし、それはいいスタートだよ」
レッドブルのマルコがプレシーズンテストではフェラーリだけでなくメルセデスもまだポーポイズ現象の影響を受けていたようだと語ったことについて質問されたヴォルフは次のように答えている。
「いや、彼は間違っているよ」
「もし彼が跳ねるマシンを見たとしても、それは我々のものではないよ」
■本当のことがわかるのは今週末
F1関係者やメディアの中には、現時点で最も速いマシンを手にしているのはレッドブルであり、メルセデスは場合によってはフェラーリばかりかアストンマーティンにも先行を許す可能性すらあると考えている者もいる。
ヴォルフもレッドブルがテストでいいスタートを切ったことは認めつつ、次のように続けた。
「一方で、彼らはテストではすべてを見せなかったし、我々もまだ全力を出してはいなかった。だから、今のところは目に見えるもので予想しているに過ぎないんだ」
「あと3日もすれば、本当のことがわかるだろうね」
■どうなる?ハミルトンとの契約問題
しかし、もうしばらくは不透明な状況が続くだろうと考えられているのは、ルイス・ハミルトンの2024年以降の去就かもしれない。
現時点では、ルイス・ハミルトンがメルセデスと2024年の契約を結ばず、今年いっぱいでF1を引退する可能性も少なからずあると噂されている。
昨年は13歳年下の若いチームメートであるジョージ・ラッセルに負けてしまった現在38歳のハミルトンだが、もしも今年も同じようにラッセルに負けることがあれば、そのままF1キャリアを終えてしまうことになりそうかと質問されたヴォルフは次のように答えている。
「ルイスはやる気があるし、精神的にも肉体的にもいい状態にあるよ」
「彼は再びもっと勝利するために戦いたいと思っているし、まずはレッドブル勢に勝ちたいと思っているよ」
現在、2024年に向けた契約交渉がまだ始まっていないと伝えられているメルセデスとハミルトンだが、その件について尋ねられたヴォルフは「我々にはそれをするためにまる1シーズンあるよ」と答え、次のように付け加えた。
「我々がしなければならないのは、古い契約書を手にとって、いくつかの細部を調整することだけだよ」