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F1追放のマゼピン「平和な世界に生きたい」「発言はリスクが高い」23歳のロシア人選手が抱える苦悩

2022年04月08日(金)6:15 am

ロシア人レーシングドライバーのニキータ・マゼピンが、自分は「キャンセル文化」の犠牲者だと語った。

■戦争で一転

2021年にハースでF1デビューを飾ったマゼピンは、今年も昨年同様ミック・シューマッハのチームメートとしてハースでフルシーズンを戦うことになっていた。もちろん、その後ろ盾はハースのタイトルスポンサーを務めていたロシアの化学肥料会社『ウラルカリ』であり、その会社を率いているのはマゼピンの父親であるドミトリー・マゼピンだ。

ところが、ロシアがウクライナへ侵攻したことから、世界的にロシアに対する制裁が発動されるようになった。そしてヨーロッパの制裁リストには、ウラジーミル・プーチン大統領と密接な関係があるサークルのメンバーであるドミトリー・マゼピン、そして、ロシア政府に収益を提供している人々と関連があるとして、23歳のニキータ・マゼピンの名前も記されていた。

こうしたことから、アメリカに本部を置くF1チームであるハースも、ウラルカリとのタイトルスポンサー契約を解除するとともに、ニキータ・マゼピンと結んでいた契約も破棄するに至った。

■マゼピン、BBCの取材に「平和な世界に生きたい」

その23歳のマゼピンは、このほどイギリスの『BBC』の取材に対して次のように語った。

「僕は制裁対象となっていることに同意していない。僕はそれと戦うことに同意すると前に言ったんだ」

「おそらく、今は適切な時期ではないだろう。だけど、一般的なケースでアスリートに対して起こっている状況全体を見れば、それは僕の国に対するキャンセル文化だよ」

実際のところ、ロシアのトップテニスプレイヤーであるダニール・メドベージェフもプーチン大統領を批判する文書に署名しなければ今年のウィンブルドンへの出場が禁止される可能性もあると言われており、スポーツの世界にも政治的思惑が大きくからんできているのは事実だ。

ウクライナ戦争についての見解を問われたマゼピンは、次のように答えている。

「僕はあなた方と同じ世界に住んでいる。だけど、さまざまなレベルにおいて、あれ(戦争)を見るのはとてもつらいことだよ」

「僕の気持ちは、人間として、平和な世界に生きたいと願うひとりの人として、明らかに変わったよ」

「でも、正直に言うと、この件に関して何か発言するのは非常にリスクが高いと思っているんだ。なぜなら、全員を満足させることは僕には絶対にできないからね」

マゼピンはそう語ると、次のように付け加えた。

「だから、僕は公の場では沈黙を守っていくつもりだよ」

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