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2021年のF1最終戦は意図的に操作されたのか?ファンはあの劇的展開をどうとらえた?

2022年01月13日(木)18:10 pm

非常に大きな物議をかもした2021年のF1最終戦アブダビGPだが、『Formula1News.co.uk』が行った世論調査によれば、レース終盤にセーフティカーが導入された際にF1レースディレクターがルイス・ハミルトン(メルセデス)が不利になるように意図的に操作したと感じた者はそれほど多くはなかったようだ。

■混乱したアブダビGP決勝終盤

ハミルトンとマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が同ポイントで並んだ状態で迎えた2021年のF1最終戦だったが、スタート直後にハミルトンがポールポジションからスタートしたフェルスタッペンをオーバーテイクすると、その後は安定した走りでフェルスタッペンに差をつけ、ほぼ完璧とも言えるレースを展開していた。

ところが、58周で行われるレースが54周目に入ったところでウィリアムズのニコラス・ラティフィがクラッシュし、ここでセーフティカーが導入されてしまう。

その時点でハミルトンに10秒以上の差をつけられていたフェルスタッペンは即座にピットインし、ハードタイヤから最も軟らかいソフトタイヤに交換。ハミルトンはかなり摩耗が進んだハードタイヤのままでコース上に留まった。

実際のところ、このときハミルトンにはタイヤ交換のためにピットに戻るという選択肢はなかったのだ。10秒以上の差があったとは言え、もし自分がピットインすればフェルスタッペンは逆にそのままコース上に留まり、ここで順位が逆転することになったためだ。

残りわずかとなったところで起こったラティフィのマシン撤去に時間がかかり、セーフティカー先導のままで規定周回に達してチェッカーフラッグが振られる可能性もあったことから、メルセデスとしてはここでフェルスタッペンをハミルトンの前に出すことは絶対に避ける必要があったわけだ。

一方、レースの運営責任者であるF1レースディレクターのマイケル・マシとしては、タイトルが決着する最終戦をセーフティカー先導のままで終わらせることは避けたいと考えていたのは確かだろう。レースを再開させる方向で比較的ゆっくりとセーフティカーに隊列を先導させ、その間にラティフィのマシンを撤去作業を実施。なんとかレース再開にこぎるける段取りを整えていた。

■レースディレクターがルール外のレース再開手順を指示

ところが、本来のルールでは、セーフティカー導入によるレースリスタートの際には、事前に周回遅れのマシンにセーフティカーを追い越させ、リードラップにいるマシンの間に周回遅れのマシンをはさまない状態でレースを再開させることになっている。だが、マシはいったんコース上の安全確保の観点から周回遅れのマシンはセーフティカーを追い抜いてはならないという指示を出してしまう。

これに対し、レッドブル側から、それはルールに反するものだと抗議が行われると、マシはハミルトンとフェルスタッペンの間にいた5台の周回遅れマシンだけをセーフティカーの前に出すという指示に変えてしまったのだ。

そして、古いハードタイヤのままのハミルトンの直後に新しいソフトタイヤを履いたフェルスタッペンが続く形となった残り1周でレースが再開。そこでフェルスタッペンがハミルトンをオーバーテイクし、劇的な逆転勝利で初のF1ドライバーズタイトルを獲得。ハミルトンはほぼ手中におさめていた通算8回目のタイトル獲得を不運な形で失うことになってしまった。

これに対し、メルセデスは即座にアブダビGPのレーススチュワードに抗議するも受け入れられなかった。メルセデスはその後正式に異議申し立てを行う意思を示していたものの、最終的にはそれを断念。フェルスタッペンのタイトル獲得が正式に確定したという経緯があった。

■失望したハミルトンがF1を引退する可能性にも発展

ハミルトンはセーフティカーに先導されて走っていた際に、レースが「操作されている」と無線でチームに訴えていたが、このアブダビでのマシのレース采配に関して、意図的にハミルトンが不利になるように仕向けられたものだという批判の声があがったのも事実だ。

レース後にはフェルスタッペンに歩み寄って祝福したハミルトンだったが、その後メルセデスの本部で行われた連続8回目のコンストラクターズタイトル獲得祝勝会には姿を見せたものの、それ以降は一貫して沈黙を続けており、FIAのレース運営に失望したことでこのままF1を引退する可能性もあると言われている。

■8割のF1ファンが不正操作はなかったと認識

こうした中、イギリスのF1情報サイトである『Formula1News.co.uk』が読者を対象に行ったアンケート調査の中で、「2021年の最終戦はルイス・ハミルトンにとって不正な操作が行われていたと思うか」との質問を行ったところ、82パーセントが「そうは思わない」と回答したという。

『Formula1News.co.uk』によれば、このアンケートには4000人を超える読者から回答が寄せられたというが、その質問に「そう思う」と答えた者の割合は18パーセントであり、大半のファンが不正操作ではなかったと考えているという結果が出たようだ。

実際、レースでは運が結果を左右することも少なくはなく、そういう意味では、アブダビではレッドブル・ホンダとフェルスタッペンがその運を見事につかんでみせたということだろう。

ただ、マシによるセーフティカー導入時の指示が途中で変わるなど、レース運営上の不手際がまったくなかったわけではなく、FIAとしても今後こうしたことの再発を防止するための調査検討を行っていると伝えられている。

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