レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、先週末に行われたF1サウジアラビアGP決勝で起きたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)の接触に関しては、自分の認識が間違っていたと認め、謝罪した。
ジェッダ市街地サーキットで初開催されたサウジアラビアGP決勝では今季のF1タイトルを争うフェルスタッペンとハミルトンによる厳しい攻防戦が繰り広げられたが、コース外に出てアドバンテージを得たことでハミルトンにポジションを譲るように指示されたフェルスタッペンがストレートで突然スピードを落としていた。
フェルスタッペンのすぐ後ろを走行していたハミルトンは慌ててそれを避けたものの、フロントウイングの一部がフェルスタッペンのマシンに接触し、ダメージを負ってしまっていた。
最終的にはその後フェルスタッペンをオーバーテイクしたハミルトンが今季8勝目をあげるとともにファステストラップポイントも獲得して両者が369.5ポイントで並んで今週末の最終戦アブダビGP(12日決勝)に臨むことになっている。
ハミルトンは、問題の接触に関して、フェルスタッペンが“ブレーキテスト”を行ったのだとコメントしていたが、それに対してマルコは「我々のデータエンジニアによれば、ブレーキ圧は常に同じで変わっていなかった。ハミルトンが見当違いをしただけだ」と語り、ハミルトンのコメントを批判していた。
しかし、その後FIA(国際自動車連盟)の指名を受けたレース競技委員が詳細な調査を行ったところ、実際にはフェルスタッペンが突然かなり強くブレーキをかけていたことが判明。FIAによればそのとき69バールのブレーキ圧がかけられており、それによりフェルスタッペンのマシンには2.4Gもの減速Gが働いていたことが明らかになったという。
そして、FIAはレース後にフェルスタッペンに対して10秒加算ペナルティと共に2ペナルティポイントを科している。
元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、ストレート上でのあのようなブレーキングは最も危険な行為のひとつだと語り、次のように続けた。
「高速で走行しているときにそれが起こったことを想像してみるがいい。それはものすごく危険なことだし、あのペナルティは甘すぎたよ」
「フェルスタッペンは、この件に関する自分の行動を考え直さなければならないね」
「私は、彼の感情や、世界チャンピオンになるための限界のないドライビングは評価している。だが、彼は少し自制しなくてはならない。マックスは今年非常によくやってきたし、もしも彼がまずいやり方で今年を終えることになったら本当に残念だよ」
そして、日頃強気な発言が多いことで知られるマルコも、今回の件に関しては公式に謝罪を行っている。
「テレビ取材の際には、その前にエンジニアから伝えられた情報をそのまま伝えてしまっていたんだ」
ドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』にそう語ったマルコは次のように続けた。
「あれは明らかに間違っていた。申し訳ない」
「いずれにしても、我々は前を向くだけだよ。我々はアブダビで勝利してタイトルを獲得したいと思っている」
「そのためには何でもするが、不当なことを行うつもりはないよ」
そう述べた78歳のマルコは次のように付け加えている。
「サウジアラビアではすでにハミルトンについていくだけのペースはあったし、アブダビのサーキットはもっと我々に合っているはずだ」